[原子力産業新聞] 2005年1月5日 第2265号 <4面> |
[年頭所感] 戦略的に科学技術政策を推進 内閣府特命担当大臣(科学技術政策)棚橋泰文平成17年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。 まず、昨年発生した多くの台風や地震によって被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。被災者の方々が、一日も早く明るい希望に満ちた生活を取り戻すことができるよう、私としても復旧・復興に全力を尽くしてまいります。 さて、日本経済の活性化のためには、「秘伝のたれ」とも言うべき日本の伝統や独自の強みを活かして新しい商品・サービス・技術を生み出し、世界に向けて発信していくことが極めて重要です。昨年5月にとりまとめた「新産業創造戦略」は、まさにこうした信念を形にしたものであり、本年は、この戦略の具体的な実現に全力を尽くしてまいります。 人材はその重要な鍵となります。天然資源に恵まれない我が国では「ひとづくり」が決定的に重要です。企業の人材投資に対する税金を軽減するとともに、若者の就業支援について実績をあげつつある「ジョブカフェ」についても、引き続き推進してまいります。若者が仕事をすることの大切さや喜びを見つけられるよう、小中学校での教育にも取り組みます。我が国の得意分野である「ものづくり」を支える人材が誇りをもってさらに仕事に取り組んでいただくよう、「ものづくり日本大賞」を本年夏に創設します。 我が国で生み出されたノウハウが流出することのないよう、知的財産を保護することも重要です。特許審査を迅速化する一方、我が国にとって重要な技術の流出を防止するとともに、模倣品・海賊版などについてアジアサイドでの取り締まりを強化します。 中小企業や地域経済は我が国の経済活力の源泉です。今は日本を代表する大企業も昔は小さな企業でした。より多くの中小企業が次世代をリードする企業となれるよう、中小企業の新分野開拓、新事業展開に対する総合的な支援法を準備しています。 複数の中小企業がそれぞれの強みを持ち寄って事業展開を図るという新しい形の連携に対し積極的に支援してまいります。また、魅力ある地域経済を作るため、「十勝」のナチュラルチーズのような地域のブランドが各地で生み出されるよう地域の工夫を後押しするとともに、多くの店のシャッターが降りているような中心市街地が再び活性化するためこれまでの政策を見直していきます。 通商政策を戦略的に進めていくことも重要です。特に、我が国の経済発展の大きな鍵を握る東アジアとの経済連携を強化してまいります。 昨年は、メキシコ、フィリピンの交渉がまとまりましたが、本年も、タイ、マレーシア、韓国、ASEAN全体との経済連携交渉を積極的に推進してまいります。さらに、昨年枠組み合意に至ったWTOドーハラウンドを推進し、国際ルールの強化・活用に注力してまいります。 資源小国である我が国にとって、エネルギー・環境問題は最重要課題です。本年2月には京都議定書が発効しますが、我が国としても一層の省エネルギー対策の強化など、地球温暖化問題に取り組んでまいります。同時に、東シナ海における石油・天然ガスを始めとする資源権益の保全等、エネルギーの安定供給に積極的に取り組みます。 また、世界最高水準にある我が国のエネルギー・環境技術を活用し、世界大・アジア大での問題解決に貢献することも重要です。特に、エネルギー消費の増加が著しいアジア地域において石油備蓄協力、省エネルギーの推進などに、我が国がリーダーシップを取って取り組んでまいります。 原子力発電については、安全の確保を大前提として、核燃料サイクルを含め、我が国の基幹電源として着実に推進してまいります。昨年8月の美浜発電所3号機の事故は誠に遺憾であります。こうしたことが二度と起こらぬよう再発防止に万全を期し、地元の皆様さらには国民の皆様の原子力に対する信頼の回復に全力を尽くしてまいります。 さて、本年3月には、いよいよ「愛・地球博」(愛知万博)が開幕します。テーマは「自然の叡智」です。日本の伝統的な知恵や技術と、燃料電池やロボットなどのハイテク技術を結びつけることにより、次世代のライフスタイルを世界に提案するものです。博覧会が子供達に夢と希望を与える場となることを希望しています。是非多くの皆様の御来場をお待ちしています。 私は、経済全般、通商を担当する閣僚として、国民の皆様の声に耳を傾けながら、将来を見据える視点と今まで以上のスピード感をもって山積する諸課題に取り組んでまいります。本年も皆様の層倍の御理解と御支援をお願い申し上げます。 最後に、本年1年の皆様の御多幸と御健康を祈念いたしまして、新年のごあいさつといたします。 |