[原子力産業新聞] 2005年1月20日 第2267号 <1面>

[原子力委員会] FBRサイクル検討開始

原子力委員会は13日、第16回新計画策定会議を開催、安全確保の中間取りまとめ案を了承し、高速増殖炉サイクル政策の検討を開始した。

中間取りまとめ案は前回の議論を踏まえ修正を加えたもの。事業者の課題として安全確保最優先、労働災害対応、リスク管理と情報共有など、国の課題として効果的・効率的規制への取組み、説明責任、最新知見反映などを指摘。規制行政組織では現段階で組織改革の議論より、原子力安全委員会の監視・監査体制強化、新検査制度などの改革の有効性について継続的に検証すべきとした。

高速増殖炉では国内外の動向とともに核燃料サイクル開発機構が実用化の見通しや「もんじゅ」の役割などについて説明した。

委員からは、「実現の可能性を経済性の視点から数字で示すべきで、危機的財政状況の中でコスト意識が必要。エネルギー基本計画の評価基準を考慮すべき」(渡辺委員)、「すでに軽水炉の次世代炉選定という極めて現実的な問題。海外に依存しないエネルギー源を持つ意味は大きい」(山名委員)、「エネルギー情勢が不透明な中で、技術による安全保障の確保は重要な施策。FBRは不可欠であり『もんじゅ』も早期に再開すべき」(内山委員)、「現長計ではFBRサイクルのグランドデザインが明確ではないが、国主体での推進をFBR使用済み燃料再処理施設も含め明記すべき」(児嶋委員)、「ナトリウム冷却炉のみに拘らず、技術選択に柔軟性が必要」(井川委員)。

「電気事業者も重要電源と認識しているが、技術的課題が多く、国主体かつ国際協調により開発を進めるべき」(藤委員)、「新長計では実用化の道筋について具体的な検討が重要。合わせて産業界との連携が必要」(岡ア委員)、「米国も現政権になり将来的には高速炉との判断から政策変更した。中国やインドが『もんじゅ』に接近してきている」(神田委員)、「この議論が『もんじゅ』改造のスケジュールを意識したものなら容認できない」(伴委員)、「FBRは実用的かつ経済的な観点から設計可能な段階であり、『もんじゅ』は総合科学技術会議でも最優先Sの評価を得ている」(殿塚委員)などの意見が出された。


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