[原子力産業新聞] 2005年2月3日 第2269号 <2面>

[原子力委員会] FBRサイクル技術開発で合意

原子力委員会は1月28日、第17回新計画会議を開催、高速増殖炉サイクル技術開発について議論し、実用化戦略調査研究の推進、「もんじゅ」の早期運転再開などの基本方針に合意した。今月10日の次回会合で中間取りまとめとする予定。

今会合で事務局は前回議論を踏まえ同技術開発の論点および各取りまとめ案を示した。@実用化に向けた研究開発のあり方A「もんじゅ」の位置付けと役割B実証炉以降の計画C研究開発評価の考え方D国や関係機関の役割──など。研究開発では現行の実用化戦略調査研究のフェーズUを引続き進め、今年度末に2015年頃までの研究開発計画や以降の課題を取りまとめること、「もんじゅ」は早期に改造工事し運転を再開、10年程度以内に所期の目的を達成すべきで国際協力の拠点としての活用も適切。実証炉はこの成果を評価し具体的計画を決定、国は進め方や到達度を随時検証すべきなどとする。

大多数の委員はこれら内容の基本方針に同意。「策定会議か原子力委員会が実用化のグランドデザインを策定すべき」(児嶋委員)、「長計に実用化戦略調査研究はこうすべきとの記述が必要」(内山委員)、「国の積極的イニシアティブを前面に出す内容に」(末永委員)、「FBR燃料再処理も並行し国主体での開発加速を盛り込むべき」(庭野委員)、「より詳細なタイムスケジュールを示すべき」(笹岡委員)など、国家プロジェクトとしての位置付けや国と研究機関の役割の明確化、開発スケジュールのより具体的記述、総合科学技術会議との関係の記述などを求める意見が多く出された。

また、「技術的判断はオールジャパンの場を設け判断すべき」(山名委員)、「『もんじゅ』事故では旧動燃が組織防衛に走るのを感じた。その点からJNCの役割が重い記述に懸念がある」(井川委員)、「最近地元で『もんじゅ』反対の人は極めて少ない。環境整備も行いながら開発推進を長計に明記すべき」(河瀬委員)、「世界のエネルギー情勢を考えると、鞘一本折れると10年中止する日本は何だと感じる」(岡本委員)、「想定されるトラブルと対策を公表することでロスが無くなるのでは」(井上委員)、「多くの法律家が名古屋高裁の判決に問題ありとの認識、最高裁の上告受理は判決見直しの方向と考えるのが合理的」(住田委員)などの意見や指摘もあった。

一方、これらに対し伴委員と吉岡委員はFBRの実用化は技術的、費用的に疑問があるなどとして取りまとめ案に反対した。


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