[原子力産業新聞] 2005年2月3日 第2269号 <3面> |
[新刊抄] 「キュリー夫人の理科教室」キュリー夫人が自分の子供たちに行った「共同授業」が現代によみがえる――。 本書は、1907年と1908年、マリー・キュリー、ポール・ランジェバン、ジャン・ペランといった当時を代表する科学者達が、自分の子供たち8〜10名を相手に行った実験や授業から、キュリー夫人の物理の授業を、生徒の一人イザベル・シャバンヌが取ったノートをもとに再現したもの。 授業はソルボンヌで行われ、当時の新聞も注目。子供たちが化学実験などを行っていることに、「ソルボンヌも、キュビエ通りの建物もまだ吹っ飛んではいないけれど、このまま終わってくれる望みもゼロではない!」と茶化した。この授業を受けた子供からは、後にノーベル賞を受けたイレーヌ・ジョリオ=キュリー、仏原子力庁(CEA)長官となったフランシス・ペランなどが出ている。 キュリー夫人の授業は10回。@「真空と空気の違い」A「空気の重さを実感する」B「気圧・水道・ポンプ・アルキメデスの原理」C「重さをはかる」D「固体や液体の密度をはかる」E「いろんな形をしたものの密度をはかる」F「再びアルキメデスの原理」G「船が浮くわけ」H「卵を浮かせる」I「気圧計をつくる」。 子供たちの理科嫌い、理科離れが懸念される現代の日本。知ることの楽しさ、体験することの楽しさを、大人にも思い出させてくれる本書は、理科教育のあるべき姿を示しているのではないか。 吉祥瑞枝氏が監修、岡田勲、渡辺正の両氏が翻訳。丸善刊、A5版、127ページ、定価1500円。 |