[原子力産業新聞] 2005年2月10日 第2270号 <2面>

[三菱重工業] 上下一体取替工事を完了

三菱重工業は3日、四国電力・伊方発電所1号機(PWR、56.6万kW)において、世界で初めて上部・下部炉内構造物(=写真)の一体取替え工事を完了したと発表した。炉内構造物を分割・切断せず原子炉容器から取り出す新工法を開発、工事従事者の大幅な被ばく低減とともに工事期間約70日を実現した。

同工事は高燃焼度燃料採用に伴う制御棒増設、炉心外周に設置され冷却水流路を形成するバッフル板を取り付けるボルト(バッフルフォーマボルト)の応力腐食割れ予防保全として、同3号機と同じ最新設計の炉内構造物に取替えたもの。これまで上部構造物の取替え工事は実施されているが、全体の取替え工事は世界でも初めて。同社では上部・下部を分割して取替えた場合に比べ、工事期間を2分の1から3分の1に短縮できたと想定している。1号機の定期検査工事の一環として実施した。

取替え対象の炉内構造物はステンレス製で全長8m、内径2.8m、重量100トン。作業はまず原子炉格納容器内に特設クレーンを設置し、原子炉容器上部に炉内構造物を収納する保管容器を配置。特設クレーンで炉内構造物を保管容器に引き上げた後、この容器を反転・横引きし屋外に搬出する。続いて新しい炉内構造物をクレーンで吊り下ろすが、この際、原子炉容器と炉内構造物の最小隙間が0.4mmと高い据付け精度を必要とするため、新たに水中高精度遠隔操作計測装置を開発、使用した。

同装置の検証や保管容器の搬出時重量が約450トンに達するため、工事実施に当たり神戸造船所で綿密なトレーニングを実施、厳しい施工条件をクリアしたという。今年9月からの伊方2号機定期検査でも今回と同じ工事を計画している。


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