[原子力産業新聞] 2005年2月24日 第2272号 <1面> |
[九州電力] Puサーマルで公開討論会九州電力が2010年度をメドに進めている玄海原子力発電所3号機でのプルサーマル計画について、同社は20日、佐賀県玄海町の町民会館文化ホールで、「プルサーマル公開討論会」を開催した(=写真)。討論会には、地元佐賀県および長崎県鷹島町・福島町から約600名が参加。パネリストには地元から賛成派と反対派がともに加わり、九州大学等から学識経験者が専門家として参加した。 20日の玄海町は、時折薄日が差すものの雪がちらつく悪天候。このなか、事前に登録した約600名の地元住民が詰めかけ、プルサーマル計画への関心の高さをうかがわせた。 「公開討論会」ではまず、国と九州電力からのプルサーマル計画の説明に続き、第2部として木元教子氏をコーディネータとして、地元住民などによるパネル・ディスカッションが行われた。 最初に挨拶を行った九州電力の松尾新吾社長は、九州電力の発電電力量のうち、玄海原子力発電所が37%を占めていると強調、「九州電力が仕事できるのも佐賀県と玄海町のおかげ」と感謝の言葉を述べた。 経済産業省の野口哲男・大臣官房参事官は、国の立場からプルサーマル計画を説明。日本のエネルギー自給率が原子力を含めても19%であることを指摘、「食料の自給率40%と比べても著しく低い」とした。また、核燃料サイクルについて、「供給安定性等に優れているという原子力発電の特性を一層改善するもの」と定義、その推進の必要性を強調。プルサーマルについては、「当面の基軸」として「着実に推進」する方針であることを説明した。 野口参事官は、日本でのプルサーマルの経験と実績について、美浜1号機と敦賀1号機で実証試験が行われ、世界では10か国で40年以上の実績があり、4千500体が装荷、「プルトニウムを起因とする事故は生じていない」と、その安全性と実績を強調。原子力安全委員会でも、「MOX燃料の特性、挙動はウラン燃料と大きな差はない」としていることを紹介した。 次に玄海3号機でのプルサーマル計画について説明した九州電力の松下清彦常務取締役は、より多くのMOX燃料が装荷できることと作業用のスペースがあることなどから同機が選ばれたと経緯を説明。これまでに住民等から寄せられた、@危険ではないかA猛毒物質ではないかB制御棒が効かないのではないかC燃料が壊れやすいのではないかD使用済MOX燃料の扱い――などについて、1つ1つ技術的な説明を行った。 中国が18基の原子力発電所建設を計画するなど、今後もウラン需要が伸びることなどから、2014年以降、ウラン供給が不足すると指摘、「次世代のエネルギー確保はリサイクルしかない」と述べ、プルサーマルの重要性を強調した。 第2部では、木元教子氏をコーディネータとし、唐津市と玄海町の住民6氏がそれぞれの立場から、原子力発電とプルサーマル、必要性、安全性、リサイクル社会への展望、地域・生活と原子力発電所など意見を述べた。(2面に詳報) 九州電力はこれまで、様々な集会等で200回近くプルサーマルの必要性など説明してきたが、今後とも対話を進め、理解を得る努力を続けていく意向だ。 |