[原子力産業新聞] 2005年2月24日 第2272号 <2面>

[九州電力] 地元住民が意見交換

1面所報のとおり、九州電力は20日、佐賀県玄海町の町民会館文化ホールで、「プルサーマル公開討論会」を開催、木元教子氏をコーディネーターとして、地元玄海町と唐津市から参加した6氏が、プルサーマルに関する意見を述べた。

玄海町の岩下孝嗣氏(玄海町議会議長)は、「食料とエネルギーの供給は国を左右する」とエネルギー輸入依存度の高さの問題点を強調、技術立国の日本は原子力を推進すべきだとした。プルサーマルの安全性については「心配」としながらも、国の安全審査が終了したあと、住民の安全、安心を確保するため、玄海町議会の場でさらに審議したいとの考えを示した。

唐津市在住の坂本洋氏は、「プルサーマルは高く危険が大きいので反対」とし、プルサーマルは「FBR開発の行き詰まり」から行われると述べた。軽水炉でMOX燃料を使用した場合の制御棒の効き方について様々な意見があるので、「公開の場で討論してほしい」と要望した。

玄海町の寺田信子氏は、生まれ育った玄海の美しい自然を次世代に残すことが使命だとし、地域の環境を守り地球温暖化防止などのために「リサイクルに関心を持っている」と述べた。「文明社会には大量のエネルギーが必要」として、原子力を取り入れながら生活を安定させる必要性を強調した。プルサーマルは「エネルギー資源のリサイクル」として、使用済み燃料についても「捨ててしまえば簡単」だが、「手間とコスト」をかけてリサイクルをする必要があると強調。資源と廃棄物の有効活用の面からも、「コストだけでは判断できない」と述べた。

唐津市の富田隆明氏は、第2次世界大戦敗戦後の厳しい経験から、将来にわたって豊かな暮らしを続けるためには、環境に優しいエネルギー源が必要と指摘、そのためには「原子力かなと思う」と述べた。一方、プルサーマルについては、ミサイル攻撃や自爆テロなどにも万全の対策が考えられているどうか「一抹の不安」があるとした。一方、原子力発電に反対する人たちに対しては、風力は採算がとれず、自然エネルギーで生活を支えることはできないと指摘。また、玄海原子力発電所で約3000人が働いていることから、原子力廃止では家族も含めると1万人が「路頭に迷う」と、地元の視点から指摘した。

唐津市議の三浦正之氏は、「プルサーマルは本当にリサイクルなのか、慎重に考えるべき」とし、プルサーマルによってかえって廃棄物が増えるとして、「これ以上金をかける政策はやめてほしい」と述べた。その上で、核燃料サイクルにかかる資金は自然エネルギーに使うべきだとし、また、玄海で計画されているプルサーマルについても「一気に高燃焼度まで上げるのは疑問」と述べた。

唐津市の三根慶三氏は、以前、玄海原子力発電所に見学に行ったことにより、それまでの原子力発電に対する誤解が解けた経験を披露した。


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