[原子力産業新聞] 2005年3月3日 第2273号 <1面>

[原子力委員会] 廃棄物処理・処分でとりまとめ

原子力委員会の新計画策定会議は2月23日、第19回会合を開催、TRUと高レベルの併置処分や廃棄物の性状による処分等を含む「放射性廃棄物の処理・処分に対する取組み」をまとめるとともに、放射線利用に関する議論を開始した。

廃棄物への取組みでは発生者責任、廃棄物最少化、合理的処理・処分、国民との相互理解に基づく実施の4原則を掲げ、高レベル、TRU、海外返還廃棄物などへの取組みを示した。高レベルの最終処分地に関して、「NUMOだけではなく、国及び電気事業者等も適切な役割分担と相互連携の下、地方自治体をはじめとする地域社会の様々なセクターや住民の相互理解と協力を得るために、それぞれの責務を十分に果たすべき」とし、TRUと高レベルの併置処分や、返還廃棄物のフランス及び英国提案を検討すべきとする。

また、事業規制と物質規制の議論が必要との意見を踏まえ、「処理・処分は発生者や発生源によらず放射性廃棄物の性状に応じて一元的になされることが効率的かつ効果的である場合が少なくないことから、国はこれが可能となるように諸制度を運用すべきであり、必要に応じ更なる対応策を検討すべきである」とする。

放射線利用では今回、事務局が論点案を示した。研究開発の進め方、人材の育成と知識の普及、国際協力の推進など。研究開発の進め方は、新たな可能性を拓く基礎的・基盤的研究開発の推進、研究開発基盤の戦略的整備・活用などを掲げ、知識の普及で食品照射のリスクと便益について国民理解推進の必要を指摘。

委員からは「量子ビーム技術が期待され、幅広く利用できる施設が必要。産学連携や国際協力と競争を強調し、日本の優位性をいかに確保するかという観点が重要」(岡ア委員)、「ジャガ芋は良く玉葱は駄目、照射したスパイスを輸入しながら国内では駄目という食品照射の現状も本気で考えるべき」(神田委員)、「研究炉の利用価値は高いという認識が必要で、研究開発をいかに活発化させるかという観点から、元気が出る内容にして欲しい」(中西委員)などの意見が出された。


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