[原子力産業新聞] 2005年3月3日 第2273号 <3面>

[IAEA] サイクル施設国際化で報告

国際原子力機関(IAEA)は2月22日、昨年6月以来進めてきた核燃料サイクル施設国際管理に関する「専門家グループ」(=写真、IAEA提供)の報告書を発表した。報告書は、既存及び新規核燃料サイクル施設の国際管理化、燃料リース・引取方式の普及など5つのアプローチを提案、機微な核物質・技術の拡散防止を唱えている。

この報告書は、B.ペロー前IAEA保障措置局担当事務局次長を委員長とする専門家グループがまとめた。同グループには26か国の代表が参加、日本からは遠藤哲也・前原子力委員長代理が参加している。

報告書は、機微な核物質と技術が拡散する懸念が広がる中、多国間枠組みを用いて核燃料サイクル施設の国際共同管理を検討する必要性を強調し、@核燃料のリース・引取方式の普及によるマーケットメカニズムの強化AIAEAが加わった国際的な供給保証体制の確立B既存施設の国際管理化の推進C多国間が参加した新サイクル施設の建設D将来の原子力発電拡大における国際管理サイクル施設の必要性――の5つのアプローチを提唱している。

ペロー委員長は、「セキュリティと経済性の両面から、検討していく必要がある」とし、「多国籍の職員が働く国際共同出資の原子力施設では、同僚間、出資者間に牽制・監視機能が働き、核不拡散とセキュリティを強化できる」としている。

濃縮施設の国際化について報告書は、「英・蘭・独によるウレンコと、仏のユーロディフが良い先例になりうる」としている。

再処理では、多国間管理には「ノウハウの流出による核不拡散の懸念」を指摘。今後長期にわたってプルトニウム需要を満たすに十分な再処理施設が存在することから、「多国間共同の新たな再処理施設は、長期間必要ない」と結論付けている。


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