[原子力産業新聞] 2005年3月10日 第2274号 <1面> |
[原子力委員会] 「理解と信頼」テーマに白書原子力委員会はこのほど2004年版の原子力白書をまとめ、4日の閣議に報告した。同委員会として直面する最重要政策を掲げる本編第1章は「国内外の理解と信頼の確保に向けて」とし、安全確保が最優先されているかをいま一度自省すべきとした。 04年版白書は第1部本編と第2部資料編で構成し、本編は第1章で最重要政策を示し、第2章「国内外の原子力開発利用の状況」で各分野の最近の動向を説明している。 第1章「国内外の理解と信頼の確保に向けて」では信頼回復に向けて、新たな事業実施のための信頼構築、国際社会の理解と信頼の確保、新たな原子力長計の策定等に向けた原子力委員会の取組、これからの理解と信頼の確保などテーマ毎に記述。信頼回復で美浜発電所事故などを挙げ、事業者や国は事実を正確に国民に伝え、必要十分な再発防止策を国民の意見を聴きつつ立案、誠実に実施することが重要と指摘する。 新たな事業実施のための信頼構築では六ヶ所再処理工場や中間貯蔵施設などを挙げ、住民等との意見交換を不断に積み重ねるリスクコミュニケーションを継続し、事業の担い手としての信頼の獲得が重要と指摘。国際社会に対しては我が国の平和利用や核不拡散重視に関する一層の理解促進が重要課題としている。 理解と信頼の確保では安全確保の最優先をいま一度自省すべきとするとともに、原子力利用の円滑な推進を目指し、政府は適正な市場条件となるよう研究開発、規制、誘導の施策を講ずるべきとする。また、地方公共団体の果たす役割は大きく、国と同団体が協調関係を維持する取組の強化が必要と指摘した。 原子力委員会は2003年12月に、5年ぶりに03年9月までの期間を対象とする03年版原子力白書をまとめた。今回の04年版は03年10月から04年12月末を対象としているが、今後は毎年1年間を対象とする白書を3月頃まとめる予定。 |