[原子力産業新聞] 2005年3月10日 第2274号 <2面>

[原子力安全・保安院] 安全性評価結果を報告

経済産業省の原子力安全・保安院は2月17日、福島第1および第2原子力発電所の建物・構築物のアルカリ骨材反応に対する安全性の評価結果について、原子力安全委員会に報告した。

これは、昨年8月、両発電所の建設時にコンクリート用砂利の品質を保証するアルカリ骨材反応性試験成績書のねつ造があったとの報道に関して、東京電力が調査を行い、それを受けて保安院が昨年11月、報告内容の精査と現地調査を行い、健全性評価結果を報告したもの。

保安院によると、両発電所の建物・構築物のうち、アルカリ骨材反応性試験に関する基準類が整備される以前(1985年以前)に建設されたすべての号機の原子炉建屋、タービン建屋、取水設備等については、そのデータが存在せず、ねつ造の余地はなく、現地調査で、アルカリ骨材反応による有害なひび割れが認められないこと、コンクリートの圧縮強度が設計基準強度を上回っていることを確認したとしている。

一方、基準類が整備された以降(86年以降)に建設された16施設について、東電は、骨材納入業者5社のうち東洋機工のみがアルカリシリカ反応性試験成績書のねつ造を行っていた事実を確認した。そのため保安院は、コンクリート専門家3名を含む現地調査で、コンクリートはアルカリ骨材反応に対して健全な状態であり、そのうち14施設は将来にわたりアルカリ骨材反応を抑制できると確認したとしている。

再発防止対策については、ねつ造防止のため、東電自身が試験成績書の原本を第3者試験機関から直接受領する、またサンプルすり替え防止のため、試験サンプル採取および試験機関への発送に際して同電力または指定する第3者が立会確認等を行うとの対策妥当と判断。さらに長期的なコンクリートの健全性を確認するため東電に対して、建物・構築物からコアを採取して促進膨張試験、圧縮強度試験を実施するよう指示するとともに、その報告を受け、健全性の確認を行うとしている。

安全委は今回の事例に関して、規制当局としては社会的な説明責任を果たす意味で、可能な限り公平な対応をすることが望ましいとの見解を明らかにした。


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