[原子力産業新聞] 2005年3月10日 第2274号 <3面>

[IAEA] 北朝鮮問題で「議長総括」

2月28日からウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で開かれていたIAEA理事会は、3日、北朝鮮の核兵器製造宣言に強く警告する議長総括を取りまとめ、閉会した。今理事会では、イランの核開発問題と、2月に核兵器製造を行った北朝鮮への対応が、大きな焦点となった。

北朝鮮問題について議長総括は、「対話の継続」と6か国協議の重要性を強調。2月10日に北朝鮮が発表した6か国協議への参加の無期限延期と核兵器製造宣言に「重大な懸念」を表明し、これを「国際核不拡散枠組みへの重大な挑戦」としている。一方、2月22日に北朝鮮が、6か国協議への復帰を表明したことについて、関係国の努力を促すとともに、北朝鮮が前提条件無しで復帰するよう促している。

理事会はこの上で、北朝鮮が信頼できる国際査察下で核兵器を完全に廃棄するよう求めるとともに、これに向けての国際的な努力を支持するとしている。

イランの核開発問題について理事会に報告したP.ゴールドシュミット事務次長(保障措置局担当)は、イランの遠心分離機に付着していた高濃縮および低濃縮ウランの出所調査が進展していることを示唆、この遠心分離機機器が置かれていた「イラン以外のある国」から、環境サンプルを採取、分析していることを明らかにした。これは、闇市場ネットワークを通じて供給されたとするP1型遠心分離機の流出ルートの解明につながる。

イランでの追加議定書に基づく保障措置実施状況についてゴールドシュミット次長は、昨年12月にウラン転換施設(UCF)で、IAEAに未申告の地下トンネル掘削作業が見つかったと報告。この目的についてイラン側は、「核物質の貯蔵量を増やし、セキュリティと安全性を改善するための貯蔵庫の建設」と説明した。

エルバラダイ事務局長は2日の記者会見で、イランでの保障措置実施状況について、「かなり良い進展が見られる」としながらも、イラン側に必要なのは、「透明性、何にもまして透明性だ」と強調。「過去の核開発の歴史を速やかに明らかにすることは、イラン自身の利益につながる」として、「ボールはイラン側のコートにある」と、一層の協力を求めた。


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