[原子力産業新聞] 2005年3月17日 第2275号 <3面>

[米国] 大統領 原子力新規建設を強調

 ブッシュ米大統領は9日、米国のエネルギー問題に関してオハイオ州都コロンバスで演説(=写真)、米議会で4年前から継続審議となっている包括エネルギー法の早期通過を促すとともに、「エネルギー供給源の多様化を進めるために、我々は安全でクリーンな原子力発電を推進する必要がある」と述べた。

 ブッシュ大統領は9日、1月に就任したS・ボドマン・エネルギー省(DOE)長官を伴って、バッテルコロンバス研究所のエネルギー研究開発施設を見学、その後、演説を行ったもの。

 同大統領は、「ガソリン給油の際の高価格や、家庭の暖房コストの上昇、大規模停電の恐れ」などから、米国人がエネルギーに懸念を持っているとし、エネルギー需要の増加、コストの高騰、送電網の信頼性低下、海外の石油への依存度増大などの問題を解決する必要を強調した。

 これらの問題解決のため、@省エネとエネルギー効率の改善Aエネルギー国内生産の増加Bエネルギー供給源の多様化Cエネルギー関係インフラの近代化――の4点が必要と強調、包括エネルギー法の早期成立を訴えた。

 原子力発電についてブッシュ大統領は、「原子力発電は、汚染物質や温暖化ガスを排出せずに大量の電力を生産できる」とし、米国では1970年代以降原子力発電所が建設されていないが、「今こそ建設を再開するときだ」と強調した。

 原子力発電の安全を懸念する声に対して同大統領は、「何十年にもわたる最新技術の研究の結果、原子力発電は安全で信頼できるものとなった」とし、「将来の確実なエネルギー供給には、原子力発電が不可欠」との考えから、新規原子力発電所建設の許認可へ向けて作業を進めていることを紹介した。

 ブッシュ大統領はまた、米国の送電網等のエネルギー関連インフラが「数十年前のもの」と老朽化、供給のボトルネックになっていることを警告。電力会社に送電網の信頼性確保を義務づける考えを示した。


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