[原子力産業新聞] 2005年3月17日 第2275号 <4面> |
[電中研・東芝] NRCに安全審査申請へ電力中央研究所と東芝はこのほど、共同開発中の燃料無交換密封型ナトリウム冷却小型高速炉「4S」について、来年度中に米原子力規制委員会(NRC)に対し予備的安全審査を申請するため、準備を進めていることを明らかにした。 「4S」は1988年から開発を進めてきた小型高速炉。当初は炉心寿命が約10年であったが、最近、固定吸収体の採用や中性子反射体の炉心槽近接配置などの改良を行い、燃料無交換で30年の炉心寿命をもつ電気出力一万kWの炉心を開発した。予備的安全審査はこの成果をもとに準備を進めており、現在ディ−ゼル発電に依存する米アラスカ州中部のガリ−ナ村が設置を検討しているという。 「4S」は炉心外周部に中性子反射体を設け、この反射体を炉心下部から徐−に上昇させることにより長期の燃焼を確保する。異常時に中性子の漏れが多くなる負のフィ−ドバック特性により炉心出力が低下、併せて崩壊熱を原子炉容器外面から自然通風により除去する構造としており、これらにより動的操作なくシビアアクシデントを回避できるという。原子炉はル−プ型構造で、30年の燃焼が終了した炉心を含む原子炉容器を取り替えることにより、建屋や熱交換機は60年程度使用することも可能。金属燃料を使用し、炉心等価直径0.68m、炉心高さ2m、原子炉容器径2.55m、原子炉容器高11.5m、集合体数18。 なお「4S」はス−パ−セ−フ、スモ−ルアンドシンプルリアクタ−との設計コンセプトによる。 |