[原子力産業新聞] 2005年3月31日 第2277号 <1面>

[総合資源エネ調査会] 中川大臣に報告書提出

 総合資源エネルギー調査会の美浜発電所3号機二次系配管破損事故調査委員会は30日、第10回会合を開催、関西電力の再発防止に係る行動計画と、同委員会としての最終報告書を審議し、それぞれ了承した。朝田泰英委員長は同日、中川昭一・経済産業大臣に最終報告書を提出(=写真)。中川大臣は保安院に、関電や三菱重工業による再発防止策の実施状況の注視を指示、改めて全事業者に対し品質管理の徹底を求めた。

 最終報告書は、今月14日の第9回会合で審議した最終報告書案に、関電の再発防止に係る行動計画の具体策を盛り込んだもの。関電は、二次系配管管理も一義的には事業者の責任であることの自覚が不足し、三菱重工と日本アームにも品質保証体制に改善すべき点があると指摘。その上で、安全は単に現場だけで達成できるものではなく、安全達成の方針を組織の各階層で具体的に展開し、継続的な改善が必要であり、改善のためには経営資源を適切に配分する必要があるため、経営者層が主体となった取組みが不可欠とした。

 一方、保安院としても肉厚管理の具体的な方法を各事業者の社内基準に委ねてきたことが不適切な判定基準の運用を招いた一因との反省に立ち、保安検査等を通じて監視・指導するとしている。さらに今事故は他の事業者にも大きな教訓であり、各事業者はここで明らかにされた課題と対応策を自社の保守管理・品質保証活動にも反映させることが重要とした。

 今会合では、関電の藤洋作社長が行動計画について説明。委員からは、「安全のためのシステム作りは人材の問題であり、リスクマネージャー的な人材を配置するとともに行動するエンジニアが必要」、「減肉データを公開することが信頼性につながる」、「事故はソフト面重視の安全規制がより必要な事を示唆しており、これを実施する契機」などの意見や指摘が出された。

 中川大臣は同行動計画について、「関西電力の安全に対する強い決意を示すものと受け止めるが、実行されて意味を持つものであり、確実な実行を要求する」とし、「事故の原因は事業者の不十分な保守管理体制だが、その背景には技術基準の不適正な運用の常態化がある」と改善を求めた。


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