[原子力産業新聞] 2005年3月31日 第2277号 <3面>

[パキスタン] IAEAに遠心分離機提出

 【イスラマバード25日共同】25日付のパキスタン紙ドーンによると、同国のムシャラフ大統領は24日の地元民放テレビとの会見で、イランの核関連施設に対する査察に協力するため、核兵器原料となる高濃縮ウラン製造に用いられる遠心分離機を、国際原子力機関(IAEA)に提出する考えを明らかにした。

 パキスタン政府はこれまで、保有する遠心分離機提出を拒否していた。「核の闇市場」を構築した同国のカーン博士の直接聴取を求めるIAEAに対し、聴取自体は認めないものの一定の協力姿勢を示し、「闇市場はまだ根絶されていない」との批判を払いのける狙いがあるとみられる。

 大統領は、最近になって闇市場が依然、存続していると報じられていることについて、パキスタンの核管理は信頼に足る安全なものだとの考えを強調。「(博士による闇市場構築という)過去の問題を終わらせるため(IAEA本部のある)ウィーンに遠心分離機を送りたい」と語った。

 IAEAは2003年の査察でイランのウラン濃縮関連施設から70%以上の高濃縮ウランを検出。「闇業者から購入した中古の遠心分離機に付着していた」とするイラン側の主張がほぼ間違いないと結論を得ているが、最終確認のため、遠心分離機の輸出元であるパキスタンに分離機の部品提出を求めていた。


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