[原子力産業新聞] 2005年4月7日 第2278号 <1面>

[資源エネ庁] アジア展開研究会 原子力などに政策的支援

 資源エネルギー庁の「エネルギー関連産業のアジア展開に関する研究会」は3月30日、第4回会合を開催し中間報告を取りまとめた。政策的支援を検討すべきとしたのは原子力など9事業分野。原子力事業の具体的事業構想・計画では、大規模な原子力発電計画を持つ中国(=表)での応札、ベトナムやインドネシアの導入計画に対する支援・参画を挙げた。

 報告書は総論で、エネルギー環境政策から見たアジアの問題点や望まれる姿、マーケット志向の必要性、官民の連携と役割分担などを提言。各論で、政策的意義が高く政策的支援の対象とすべき事業として再生可能エネルギー、原子力など九事業を挙げた。

 原子力事業はその政策的意義として、エネルギーセキュリティー向上やCO2排出量低減とともに、我が国原子力産業の高い技術が活用され、中国の原子力発電所の安全運転が確保されることは、我が国および世界における同発電所に対する信頼維持の観点からも重要と指摘。日本の原子力産業にとっても関連技術・人材の継承の円滑化が期待できるとしている。

 官民の適切な役割分担の方向では、中国の国際入札において、政府として我が国の原子力産業を最大限支援する姿勢を明確にするため初めて経済産業大臣がサポートレターを中国政府に発出した事、独立行政法人の日本貿易保険(NEXI)および国際協力銀行(JBIC)も輸出信用供与の検討を開始している事などを紹介。政府はこうした対応を引き続き実施するとともに、輸出環境の整備として、@相手国との人材育成や技術協力と原子力産業の国際展開の戦略的リンケージA相手国の安全規制や原子力賠償制度の整備の促進と支援――などの対応が必要としている。

 経済産業省の杉山秀二事務次官は、3月31日の定例記者会見で、「エネルギーの安定供給というのは、日本だけではなく、東アジアも含めて大きな地球規模での課題」であるとし、この観点から、「我が国が持っているさまざまなポテンシャル、ノウハウ、あるいは技術的な蓄積」を海外に適切な形で伝え、貢献をしていく事が大切との認識を示した。


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