[原子力産業新聞] 2005年4月7日 第2278号 <3面>

[OECD・NEA] 発電コストで全電源が並ぶ NEAとIEAが報告

 経済協力開発機構・原子力機関(OECD・NEA)は3月16日、国際エネルギー機関(IEA)と共同でまとめた、OECD加盟国における各種電源の発電コストの試算報告書を発表した。これによると、割引率10%の場合の平準化発電コストは、kWhあたり、原子力発電が3セント〜7セントの間であるのに対し、ガス火力は4セント〜6セント、石炭火力も3セント〜7セントの間にあり、「発電コストに関しては、明確な『勝者』はない」と結論付けている。

 この調査は両機関がほぼ定期的に行っているもので、前回調査は1998年に行われた。今回は、OECD加盟19か国と非加盟3か国について、2010年〜2015年の期間の前に運開が予定されている130の各種発電所について、発電コストや建設費などを比較したもの。調査対象となったのは、石炭火力、ガス火力、原子力、水力、太陽光、風力の各電源。同調査では、13の原子力発電所が調査対象になっている。

 調査対象の原子力発電所のうち、全建設費を一度に支出すると仮定したオーバーナイト建設費が最も安価なのは、韓国とチェコの各1基で、約千ドル/kW。反対に建設費が最も高いのは日本の1基で、約2500ドル/kWだった(図1参照)。13基中11基では、原子力発電所の建設費は1kWあたり1000ドル〜2000ドルの間に入っている。

 原子力の平準化発電コストでは、最低がチェコと韓国各1基の3セント/kWh、最高は日本の約7セント/kWhだった(図2参照)。原子力発電所13基のうち11基で、発電コストが3セント〜5セントの範囲内だった。コストが最も高かった日本については、資本費、運転・保守費、燃料費とも、各国よりかなり高コストになっていることが目立つ。

 各種電源間で発電コストの大きな違いはなかったものの、原子力は七か国で石炭火力より10%以上安く、9か国でガス火力より10%以上安くなっている。

 電源間でコストに大きな差がなかったことから、エネルギー・セキュリティが政府のエネルギー政策に大きな影響を与えるとし、環境政策が化石燃料価格に与える影響も今後ますます増大するとしている。


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