[原子力産業新聞] 2005年4月7日 第2278号 <3面>

[IAEA、経産省、文科省] IAEA敦賀セミナーから (3)

 先週号に引き続き、IAEAが経済産業省、文部科学省との共催により、9日、10日の両日、福井市で開いたセミナー「原子力への期待―地域との共存・共栄の視点から考える」から、経済協力開発機構・原子力機関(OECD・NEA)のK・ダイフク渉外・広報担当課長の「原子力の現在の状況と将来展望」と題する講演の概要を紹介する。

「原子力の現在の状況と将来展望」K・ダイフク氏(OECD・NEA)

 原子力発電の将来は、エネルギー需要の増大、環境保護、原子力の経済的競争力、パブリックアクセプタンスなどのいくつかの要素によって左右される。

 現在、世界では441基の原子力発電所が運転中で、世界の電力需要の約16%をまかなっている。OECD加盟国は30か国を数え、これら加盟国の原子力発電容量は世界の約85%を占める。また、発電電力量に原子力が占める割合は、25%近くに相当する。現在、18か国のOECD加盟国が原子力発電所を運転中である。

 OECD加盟国の中でも、原子力発電に対して多種多様な政策が採られている。

 これらの国々の原子力政策を分類すると、@原子力発電所を持たず原子力に強硬に反対A原子力発電所を持たないが原子力に対して寛大B原子力発電国でありながら強硬に反対C原子力発電国で既存の原子力発電所の運転を継続するものの、新規建設を行う計画はないD原子力発電国で新規に発電所を建設中、または環境が整い次第今後建設する計画がある――の5種類に分けられる。

 過去一年間に原子力への態度が変化した国には、ベルギー、カナダ、イタリア、韓国、オランダ、スウェーデン、スイス、英国等が挙げられる。

 将来見通しについては、原子力技術の進歩と次世代原子炉の開発を受けて、燃料燃焼度の向上や放射性廃棄物の発生量の低減、コストパフォーマンスの向上、安全性の向上や核不拡散抵抗性の向上などがもたらされると期待できる。

 次世代の原子力システムを開発する「第四世代プログラム」はこれらの開発のための主要な枠組みであり、OECD・NEAは、「第四世代国際フォーラム(GIF)」の技術事務局を務めている。


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