[原子力産業新聞] 2005年4月14日 第2279号 <3面> |
[東芝] ナノテク利用の新型リチウムイオン電池開発東芝は、1分間で容量の80%まで充電できる急速充電性能と、リチウムイオン電池の特長である高い体積エネルギー密度を有する新型リチウムイオン電池(=写真)を開発した。 新型電池はナノテクノロジーを利用したもので、負極材料に、リチウムイオンをスムーズに吸収することが可能で、急速に充電しても有機電解液を分解することがないナノ微粒子を新材料として使用している。この新材料は、ナノ微粒子を均一に固定する技術を新たに開発したことで、初めて電極化することができた。 また、新型電池は、急速充電性能以外に、充放電を1000回繰り返した後の容量低下もわずか1%に抑えており、きわめて優れたサイクル寿命性能を達成している。さらに低・高温時にも性能劣化の少ない優れた温度特性を有し、マイナス40度Cでも室温(25度C)の80%の放電容量(一時間放電率)を維持可能。プラス45度Cの高温環境でも優れたサイクル寿命性能(1000サイクル後の容量低下は5%以内)を維持、幅広い温度環境のもとで、性能劣化が少ないことを確認したという。 今回公開されたのは、ラミネート型電池(厚さ3.8mm、高さ62mm、幅35mm、容量600mAh)の試作品で、急速充電サイクル評価でサイクル寿命特性を確認済み。06年中にも製品化を目指すという。 新型電池の使用用途としては、携帯電話、ハイブリッド車、ワイヤレス家電機器、産業用などさまざまな用途が予想される。優れた急速充電性能は、高い効率で電力回生が可能なことを意味し、車両用電力回生システム等の電力回生用途に適用すれば、エネルギーの有効利用によるCO2削減も期待。 |