[原子力産業新聞] 2005年4月21日 第2280号 <3面> |
[国連総会] 核テロ防止条約を採択 9月に署名開始国連総会は13日、「核テロリズム行為の防止に関する国際条約」をコンセンサスで採択、同条約は今年9月14日の国連総会の場で、署名のため開放されることになった。22か国の批准により発効する。 核テロ防止条約は、テロリストが核物質や放射性物質を入手するのを防ぐことを目的とし、1998年にロシアが提案していた条文をベースに、米国での同時多発テロを受け、国連の特別委員会で検討が行われてきたもの。 この条約の交渉に7年もかかったのは、国家の軍事力による原子力施設への攻撃についての扱いが争点となったため。同条約は、正規軍による攻撃については条約の範囲外としたが、これには多くの国が懸念を表明。イラン代表は、原子力施設への攻撃が実質的に核テロであっても、この条約の適用範囲から逃れられると反発。エジプトもまた、テロ行為は、国家が行っても非国家主体が行っても、犯罪行為とすべきだと述べた。また同条約は、テロ攻撃が一か国内に留まるときは適用されない。 核テロ防止条約は28条から成り、放射性物質を不法に所有したり、人の殺傷や環境・財産へ損害を与える目的で核物質や機器を生産、保有、使用することを、加盟国は犯罪と規定、犯人の処罰や引き渡しを義務づける。さらに、情報交換や捜査、犯人引き渡しでの国際協力を推進する。 同条約はまた、事態収拾後に核物質を国際原子力機関(IAEA)保障措置下に置くこと、放射性物質を保健、安全および核物質防護に関するIAEAの基準に従って取り扱うことなどを定めている。 条約は「核物質」の定義について、@プルトニウム(プルトニウム238が80%以上のものを除く)Aウラン235または233が濃縮されたウランB鉱石や鉱石残渣を除くウランC上記の核物質の混合物――と定義。条約の対象となる「原子力施設」については、船舶等を含む原子炉と、放射性物質を持つ施設と定義している。 |