[原子力産業新聞] 2005年5月12日 第2282号 <2面>

[電源開発] 用地訴訟で勝訴

【10日共同】青森県大間町に原子力発電所を計画している電源開発が、建設に反対する同町の熊谷あさ子さん(67)の建設予定地内の共有地を移転登記し、土地を明け渡すよう求めた訴訟の判決で、青森地裁の河野泰義裁判長(異動のため斉木教朗裁判長代読)は10日、熊谷さんに移転登記を命じた。電源開発側の勝訴。

 共有地の農道や通路などは、予定地内に碁盤の目状に広がっており、建設は事実上不可能となっていたが、判決理由で河野裁判長は「民法上、電源開発には土地の分割請求権が認められる。原子力発電所の危険性や風評被害を理由に請求権は否定できない」と述べ、原告側の主張を全面的に認めた。

 熊谷さんの代理人は「控訴する」と述べた。

 電源開発は「電力供給の観点からも大間原子力発電所は必要。被告側に敷地内の道路通行権を与えるため、不利益は生じない」と主張。熊谷さんは「原子力発電所は極めて危険」と反論していた。

 訴えなどによると、1952年の農地払い下げの際、農道など約20ヘクタールが共有地として熊谷さんら住民に均等登記された。電源開発は63人の土地買収を進め、熊谷さんだけ売却に反対している。


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