[原子力産業新聞] 2005年5月19日 第2283号 <2面>

[原子力委] 新計画策定会議 人材養成、国際問題等で議論

 員会は4月27日と28日、第24回および第25回新計画策定会議を開催し、それぞれ人材の養成及び確保、国際問題について検討した。

 人材に関する論点整理案は原子力教育、研究開発、原子力産業、安全確保、国際協力に分けて今後の取組みの方向性を提起。原子力産業については、「事業者―協力会社間の垂直連携にとどまらず、事業者間、協力会社間の水平連携等広く検討する取組みが期待される。例えば原子力の保修に関する横断的な技能資格制度の整備、資格の取得に向けた研修施設・カリキュラムのネットワーク化など産業一体として進めることが期待される」などとした。

 委員からは「危機感を持った記述が必要」、「定期的な研修制度が重要」、「人材が育つための環境整備を」、「原子炉保安工学を育成する必要がある」、「原子力は先端的で将来性や魅力のある分野との認識に基く記述を」、「人材養成のためにも原子力発電の職場が誇りを持てるような合理的規制などの環境整備を」、「教育の場で基本的なエネルギー教育の充実が必要」などの意見が出された。

 国際問題の論点整理案は検討WGでの検討内容をまとめたもので、核不拡散体制の維持・強化、国際協力、国際展開について記述。参考としてエルバラダイIAEA事務局長のマルチラテラル・アプローチに対し、「核不拡散体制の維持・強化が緊急の課題だが、平和利用を行う国の原子力活動を不必要に制約することがないよう十分な議論が必要」とした。

 委員からは「先端的なテーマでもアジアでの協力が重要との視点を入れるべき」、「国際機関への人的貢献を充実し日本の政策の理解促進が必要」、「兵器保有、平和利用、無申告活動は明確に分けた議論が重要」、「アジアでのエネルギー不足に対応するとのスタンスを前面に」などの意見が出された。

 なお、第24回会合で藤洋作委員が退任し、九州電力社長の松尾新吾氏が新委員に就任した。

 また5月14日には、第26回新計画策定会議を開催し、国民・社会と原子力の調和などについて議論した。

 事務局が提示した論点整理案では、はじめに原子力関係者は国民・地域社会から信頼され、相互理解される関係の構築を目指して最大の努力が必要な時であると自覚すべきと指摘。立地地域においては地域の人々、行政、事業者が知恵を出し合い、自立的発展に向けて創意工夫が求められる時代が到来しているとの認識が重要とする。その上で、公聴広報活動、知識の普及、立地地域との共生の3項目について現状と課題、今後の取組の基本的考え方を提示。電源三法交付金制度では多様な地域活性化策への支援を目指し常に見直しが必要であり、事業者は地域のパートナーとして資源やノウハウを広く活用すべきとする。

 委員からは「理解と信頼のためには原子力関係者の意識改革や風土改革が必要」(渡辺委員)、「知識の普及では放射線利用への考慮も」(草間委員)、「長年の安全運転の積重ねが効果ある最大の広報活動というのが実感」(松尾委員)、「原子力委員会が国民の意見を吸い上げる一層の努力を」(勝俣委員)などの意見が出された。


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