[原子力産業新聞] 2005年6月2日 第2285号 <3面>

[シリーズ] ルミャンツェフ・ロシア原子力庁長官に聞く(1)

 ロシア原子力庁のA・ルミャンツェフ長官(=写真)にノーボスチ通信のA・レズニチェンコ特派員がインタビュー、イランや中国などへのロシアの原子力輸出政策などを聞いた。2回シリーズでお届けする。【ロシア・ノーボスチ通信社配信】

▽あなたの見解では原子力分野に外国の投資が必要と思いますか。

 もちろん原子力部門では、国営の原子力発電所は外国資本の支援を受けないでしょう。しかし私たちは経済発展省とエネルギー省の共通の見解を理解するに至りました。つまり、「ロスエネルゴアトム」コンツェルンを、株式の100%を国家が保有する上場株式会社に改革する時期が来たとの認識で一致しました。

 もちろん原子力エネルギーという特殊性のために、国家が安全管理を完全にチェックする必要はあるでしょうが、財産の一部や設備はすでにこの株式会社の所有になっていますので、投資を受けるのに問題はありません。我々はこの方向で積極的に必要な投資を誘致しようと歩んでいます。

 投資を受けなければロシアの原子力部門の潜在力は外国のそれに比べて脆弱になります。

 我々は今外国で五基の原子力発電所を建設中ですが、ロシア国内では、投資資金が欠如しているために2基を、しかも同時に補足的に建設しているだけという状況です。つまり投資されたのは1基、2004年12月に稼働したカリーニン3号機だけです。

▽あなたはパリで、「多くの国が今後2年間に、原子力発電能力を2倍から3倍に増強しようとしている」と語りました。この傾向に対しロシアはどのように対応するつもりですか。

 確かに複数の国が原子力発電能力を数倍に増強する計画を表明しています。特に、イランはブシェール1号機を稼働させた後、さらに2基の原子力発電所の建設を始める計画ですが、イランはさらに1基の建設に取り掛かるでしょう。

 また、中国についても、全体では原子力のシェアは数パーセントしか占めないにしても、強力な原子力エネルギー計画を持っています。これらの国は、原子力発電能力を2倍にしたいと望んでおり、市場としては大規模です。しかも、これらの国は海外からの投資を受けず、市場で自力で動いています。

 中国は現在、原子力発電を必要とするハイテク産業国になっています。自己資金、自国の労働力で自国の産業発展を目指し、原子力発電所を建設する能力も持っています。それでもロシアは、中国の原子力エネルギー発展を促進する完全な参加者として、長期的に中国に参加するでしょう。(次号につづく)


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