[原子力産業新聞] 2005年6月16日 第2287号 <3面> |
[IAEA理事会] エルバラダイ事務局長を三選【ウィーン13日共同】国際原子力機関(IAEA)の定例理事会(35か国)が13日、ウィーンで開幕した。会議では、11月末に2期目の任期が切れるエルバラダイ事務局長(エジプト出身)の三選を全会一致で決定した。 エルバラダイ事務局長の三選については、多選の弊害を理由に難色を示していた米政府が9日に反対取り下げを発表。米政府高官は、三選反対への同調国が現れない中、核拡散防止強化に向けて各国との協調を優先させる狙いから反対を取り下げたことを示唆した。 この日、ホール議長が議題の順序を変更し、事務局長の三選を、事務局長演説に代えて最初の議題にするよう提案。しかし、日本の高須幸雄・駐ウィーン国際機関代表部大使が「当初の議題の順序を守るのが国際ルール」と異議を唱え、会議が一時紛糾した。 今理事会では、核不拡散条約(NPT)再検討会議で実質的な討議ができなかった保障措置の強化策を話し合う。会期は17日まで。事務局長は冒頭演説で、再検討会議決裂に失望を表明、核拡散防止体制立て直しの必要性をあらためて強調する見通し。また北朝鮮の核問題でも、六か国協議の早期再開を要請することになりそうだ。 理事国外交筋によると、保障措置強化策を専門に討議する特別委員会を理事会内に設置することが決まるとみられる。 |