[原子力産業新聞] 2005年6月16日 第2287号 <3面>

[中国] 甘粛省北山に高レベル処分場

 藤家洋一・前原子力委員長を団長とする民間原子力産業界のメンバー7名が、5月29〜31日にかけて訪中、国家原子能機構(CAEA)の張華祝主任と会見し、日中の原子力計画について意見交換するとともに、原子能科学研究院の高速実験炉(=写真、CEFR)や清華大学の高温ガス実験炉(HTR110)などを訪問した。また、中国が高レベル廃棄物処分場立地を、甘粛省北山地域で検討していることが明らかになった。

 高速炉については、実験炉CEFR(電気出力2.5万kW)の建屋工事が完成、2008年の運転(臨界)開始を目指していること、実証炉CPFR(60万kW)を2020年の完成予定で計画していることなどが紹介され、中国側から安全性、先進軽水炉技術の適応や先進核燃料サイクルの協力が要請された。

 運転中の高温ガス炉HTR110(熱出力10MW)については、現在の蒸気タービン発電を、2007年にはヘリウム・ガスタービン発電に切り替え、発電効率と安全性を向上させることが紹介された。清華大学では、高温ガス炉による水素製造の研究も行われており、今後ともこのような意見交換を頻繁に行いたい旨、申し入れがあった。また中国側から、電気出力20万kWのモジュール型高温ガス炉を十九基並べた商業用原子力発電所の構想が示された。

 31日に訪問した中国核工業集団公司(CNNC)傘下の北京地質研究所では、中国が高レベル廃棄物処分場を、調査中の五か所から一か所に絞り込むことを決定、甘粛省北山地域での立地を重点的に調査していること、充填材のベントナイトや中国古代遺跡を利用したナチュラルアナログ研究が報告された。


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