[原子力産業新聞] 2005年6月23日 第2288号 <1面>

[青森県] 中間貯蔵で「聴く会」開く

 青森県は19日、青森市内で使用済燃料中間貯蔵施設について、三村申吾知事が直接県民から意見を聴く会を開催した(=写真)。県選定者、一般公募者合わせて33名が意見を述べ、意見の数としては賛成、反対の立場がほぼ拮抗した。三村知事は「それぞれのご意見を受け止めた。まだ県の判断を話せる段階になく、県として考えたいこともある。更に検討を重ね総合判断する」とした。県は貯蔵期間50年の担保、品質保証体制などについて国や事業者と協議し、近く最終判断を示す見通し。

 県選定者は商工会議所・農業協同組合・生活改善グループ連絡会・核燃料サイクル施設立地反対連絡会・核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会・学識経験者など各界代表16名、一般公募者は自営業・農業・会社員・主婦など17名。県民約200名も詰めかけ賛成、反対の各意見に耳を傾けた。

 賛成の立場では、「少資源国の国策である核燃料サイクル政策に必要な施設」、「地域振興や自治体の財政再建にも寄与する施設」との意見が多数。この内、一般参加の障害者施設の職員は「事故発生の場合の施設への被害を心配し、勉強会や見学会に参加したが、こうしたことにより中間貯蔵の必要性を理解し、現在は賛成している。事業者は危機管理や情報公開に努めて欲しい。東京電力など関係者は地元に見事にとけ込んでおり、活気ある地域とする上でも事業は必要」とした。立地予定地から600mという酪農家は「下北が繁栄し、農業との共存が可能なら立地に同意することで、仲間とも合意している。行政には風評被害対策の十分な実施をお願いする」と要請した。

 反対の立場では「貯蔵期間50年の担保が不明確で品質保証も不安」、「県は原子力施設依存から脱却、多様な地域振興策を検討すべき」などの意見が多く出された。薬剤師会の理事は「首都圏の多量の電力消費により発生した使用済燃料を青森県で貯蔵することに忸怩(じくじ)たる思いがある。消費地で貯蔵すべき」と指摘。農業関係者からは風評被害による農産物販売への影響を懸念する声も多く聞かれた。

 会終了後、三村知事は「永久貯蔵にならないか、事業者の品質保証体制は、など県として考えたい点がある」とした。同知事は18日に建設予定地も視察、東京電力から施設の安全性などについて説明を受けた。


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