[原子力産業新聞] 2005年6月23日 第2288号 <3面>

[IAEA] 3期目の抱負語る エルバラダイ事務局長

 国際原子力機関(IAEA)理事会で3選が決まったエルバラダイ事務局長は13日、記者会見で3期目の課題など、記者団の質問に答えた(=写真)。

▽米国との食い違いがある中で劇的に訪米したが、重要問題で米国とどのように協力していくのか。

エルバラダイ 米国は国際機関の長の任期は二期という方針だったが、理事会の見解も尊重すると明言し、3選に賛成した。ワシントンではライス国務長官、国家安全保障担当大統領補佐官、エネルギー省長官など多くの人々と、核不拡散体制の立て直し等、建設的な協議、今後の共通目標を確認した。手法で相違はあるが、核拡散防止への思いは同じだ。保障措置でのIAEAの権限の確保、燃料サイクルの国際管理、国の約束順守方法の作成等に向けて、協力したい。多国間主義は、全員の協力と理解なしには、重要な問題で何一つ行動を起こせない。

▽3期目の抱負は。

エルバラダイ 原子力はエネルギー、健康、農業、水資源管理に有効だ。IAEAを途上国開発のための中核組織としたい。核不拡散体制を強化し、効果的な検証体制を定め、核テロと戦う最善の努力をし、協力して核軍縮を実現したい。

▽イラン問題の決着の見込みは。

エルバラダイ 現在協議中の問題が解決すれば、決着するだろう。理事会で報告したとおり、進展は見られるが、残っている問題もあり、イランの透明性のある情報提供を望む。この問題はできるだけ早く解決したい。イランが必要な情報を早く提供すればするほど、問題を早く解決できる。

▽イランの核開発計画で核心を握る人達と接触できるか。また、EUとイランの協議には介入するか。

エルバラダイ 情報入手や人員との接触など、イラン側の協力を望む。イランが燃料サイクル活動を停止する約束を守っていることは事実だ。遠心分離機のウラン汚染問題は、パキスタンの協力で進展しているが、遠心分離濃縮計画の性格やその規模などの問題があり、イラン側のより迅速な協力を得たい。


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