[原子力産業新聞] 2005年6月30日 第2289号 <1面>

[東京電力] 福島第一・1号機 福島県が運転再開を了承

 東京電力の福島第一原子力発電所1号機(BWR、46万kW)について、福島県の佐藤栄佐久知事は29日午前、福島県庁に勝俣恒久東電社長を呼び、運転再開を正式に認める旨を通知した。これにより、いわゆる東電不祥事後、唯一停止が続いていた福一・1号機が約2年8か月ぶりに運転再開を果たすことが決まった。東電の原子力発電は、およそ2年10か月ぶりに完全正常化を迎える。

 佐藤知事は29日、勝俣社長に対し、@再発防止策A高経年化対策B情報公開の徹底――などを要求。その上で、福島第一・1号機の運転再開を容認する旨を伝えた。

 福島県では同1号機再開に関して、安全最優先の立場から独自の基準を設けて検討。その一環として設置された原子力関係部長会議では、同1号機の高経年化対策や情報公開の徹底に加え、最近では機密情報がインターネット上に流出した問題を受け情報管理についても議論が行われ、28日開催の第7回会合で再稼働容認の方針を固めた。

 福島第一・1号機は、1991年、92年の定検中に行われた格納容器漏えい率検査の際、容器内に圧縮空気を注入するなど不正が行われたことから、02年11月、保安院より1年間の原子炉停止処分を受けていた。再稼働を果たせば、02年10月26日に漏えい率検査のために中間停止して以来、約2年8か月ぶりの原子炉起動となる。

 なお東電の勝俣社長は「この3年近くの間に得られた貴重な教訓を、協力会社も含めた全職員一人ひとりの心に深く刻み込み、今後とも不退転の決意をもってさらなる改善と品質の向上に努め、安全であることはもとより、ご信頼いただける原子力発電所を目指して、たゆまず取り組む」とのコメントを発表した。


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