[原子力産業新聞] 2005年6月30日 第2289号 <1面>

[原技協] 「安全確保の戦闘集団に」 第1回定時総会開く

 今年4月に設立された日本原子力技術協会(原技協)は22日、東京・芝で第1回目の定時総会を開いた(=写真)。

 冒頭挨拶で石川迪夫理事長は、まず取り組むべき課題を「職員の意識改革」と強調。同協会が自主保安、安全確保のための「戦闘集団」となるために、職員のプロパー化を含め、意識改革を進めていきたいと述べた。

 石川理事長は原技協の具体的活動として、@外国人による原子力発電所のピアレビューA火力発電所の運転・保守データの収集と原子力への反映B原子力発電所の常駐検査官の自由な検査活動――を挙げた。

 原子力発電所のピアレビューについては、NSネットが行ってきた原子力施設のレビューを基礎として、原技協の技術専門家がリーダーとなって実施する体制に変える。また、今年度は特定のピアレビューについて、海外機関の協力を仰いで実施。職員のレビュー技術の向上を図るとともに、第三者機関としての独立意識の向上を図る。

 科学的・合理的データに基づく原子力技術基盤の整備を進めるため、火力発電所のデータを収集・分析し、リスク評価のデータとして活用することを検討する。

 原子力発電所に常駐する国の検査官の検査活動については、現在ほとんどの原子力発電所で、電力会社社員の同行のもとに点検・検査が行われている。しかし今後は、電力社員の同行をやめ、検査官が発電所内部で自由に活動できるようにしようという構想だ。これにより、両者が対等の立場で独立して活動するきっかけとし、仕事に緊張感をもたらしたいとする。

 また、電力会社、メーカー、協力会社についても、原子力安全の視点からは対等の立場にあるとの意識を展開。意識改革を通して、原子力産業界が自ら変わり、国民の信頼を回復、科学的・合理的な原子力発電所の運営を目指す。

 石川理事長は今夏から、原子力施設の現場を回り、実際に作業をしている人たちから直接意見を聞き、原子力産業界全体の改善と活性化につながる提案を行いたいとの意欲を表明した。


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