[原子力産業新聞] 2005年7月7日 第2290号 <1面>

[原子力委] 新計画策定会議 次期長計検討が最終段階

 原子力委員会・新計画策定会議は6月30日、第29回会合を開催、事務局が「新計画の構成」に対する意見募集の結果を報告するとともに、次期長期計画案の内容について議論を開始した。昨年6月から議論を重ねてきた同会議は最終段階を迎え、今月15日予定の次会合で合意が得られればパブリックコメントに付す段階に入る。

 6月9日から24日まで募集した「新計画の構成」に対する意見募集は393名から合計758件の意見が寄せられた。より国が前面に出た原子力政策が必要、放射性廃棄物に対する取組みや説明が不十分、高経年化をはじめ安全対策の一層の充実が必要、エネルギーに関する学校教育の必要性などに関する意見が比較的多かった。

 今会合で提示された次期長期計画案はこうした意見も盛込んだもの。まず基本的な方向を示した上で安全確保、人材育成、国民・地域社会との共生、エネルギー利用、放射線利用、放射性廃棄物の処理・処分、原子力研究開発の進め方、国際的取組みなど、今後の取組みの考え方を示した。

 最も多くの時間を割いて議論した核燃料サイクルは4つのシナリオとともに、これを評価した安全性、技術的成立性、経済性、環境適合性など10項目の視点もかなり詳細に記述した。

 安全確保では国と事業者の責任、安全文化と品質マネジメント、リスク情報の活用、高経年化対策など、国民・地域社会との共生では透明性の確保、学習機会の整備充実など、放射性廃棄物の処理処分では高レベル、超ウラン核種などへの対応について比較的多くのスペースを割いた。またFBRは2050年頃から商業ベースでの導入を目指すとするが、FBR開発に関しては意見募集でも推進、反対の立場からかなり多くの意見が寄せられた。

 今会合では委員から、国策としてのより明確な表現が必要などの指摘とともに、指針として原子力発電比率の具体的数値を記述することの是非、科学的・合理的な安全規制などに関しても意見交換が行われた。


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