[原子力産業新聞] 2005年7月7日 第2290号 <3面>

[米議会] エネルギー政策法案 上院が大差で可決

 米議会上院は6月28日、85対12の大差でエネルギー政策法案を可決した。4月に下院が可決したエネルギー法と内容の異なる点があるため、今後上下両院は両院協議会を開き、法案のすり合わせを行う必要がある。

 上院版のエネルギー法案は、エネルギー委員長のドメニチ上院議員(共和党)と民主党のビンガマン上院議員が中心となって、超党派で推進してきたもの。

 原子力発電関連条項では、@新規原子力発電所の建設について最初の数基に財政支援Aプライス・アンダーソン法の20年間延長B新型原子力発電所の研究開発への支援C原子力施設の安全性とセキュリティ改善に向けた米エネルギー省(DOE)研究D水素生産研究のためアイダホ国立研に研究炉を建設――など。

 4月に下院が可決した包括エネルギー法案には、昨年同法案が廃案に追い込まれる直接の原因となった、ガソリン添加剤MTBEによる地下水汚染への損害賠償訴訟の免責などの条項が含まれている。また、国内でのエネルギー生産を奨励するための減税措置についても、上院が向こう10年間で180億ドル、下院が80億ドルと相違点もある。ブッシュ大統領が求めている8月の議会休会前の成立には紆余曲折がありそうだ。

 エネルギー政策法は、ブッシュ大統領が就任直後の2001年五月に打ち出した「国家エネルギー政策」を具体化するための法案。原油先物価格が1バーレル60ドルに高騰、米ガソリン価格は1ガロン2ドル台へ2倍近く上がり、米家庭の暮らしへの影響が懸念される中、法案の行方に注目が集まっている。

 上院のエネルギー法案通過について、米原子力エネルギー協会(NEI)のボウマン理事長は、「原子力発電は、安全、経済的かつ大気汚染物質を放出しない発電により、環境を守り、経済を発展させる原動力となっていく」と、歓迎の意を表明した。


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