[原子力産業新聞] 2005年7月7日 第2290号 <3面>

[米GM] 水素経済で原子力の役割を強調

 ゼネラル・モータース(GM)の研究開発戦略計画担当副社長のL・バーンズ氏は、「水素経済の実現にあたり、原子力産業界は燃料供給者として、重要な役割を果たす。これは、原子力界が大きく飛躍する機会だ」と、語っている。

 現在の原子力発電所は、水素燃料を電気分解法で生産しているが、新型原子炉では、電気と水素を一緒に生産する。

 バーンズ氏は、次世代自動車の巨大な市場を見据え、「世界人口の88%は自動車を持っていない。我々は、もっと安全で快適に運転でき、水素を燃料とする自動車を近い将来に実現する」とする。

 GMは、オートノミーという水素燃料電池車のプロトタイプと同時に、欧州のスウェーデンからポルトガルまで走行したハイ・ワイヤーという概念実証車(=写真)を製造した。シークエルという名前のスポーツユーティリティ車は、デトロイトを本拠地とするGMの次世代車である。5人乗りのシークエルは、480kmの航続距離を持ち、時速ゼロから96kmまで10秒以内で加速でき、排出するのは水だけだ。

 水素自動車の出現により、デトロイトの勢力図は大幅に変化している。たとえばGM水素自動車への供給者の半分は、自動車業界以外の業種だ。しかし水素経済を実現するには、コスト、耐久性、燃料貯蔵、インフラなど、多くの難題を克服しなければならない。


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