[原子力産業新聞] 2005年7月14日 第2291号 <3面>

[ウクライナ便り] WH製燃料を初装荷 南ウクライナ3号

【11日=キエフ松木良夫】在ウクライナ日本国大使館によると、7月7日ウクライナのユーリャ・ティモシェンコ首相は、在キエフの各国外交団を招いた会合で、ウクライナのエネルギー改革プログラムを発表した。これによると、まず長期的には原子力を主流に据える。次に短期的には天然ガスではなく、国内で調達出来る石炭を旧型火力発電所を改良しながら利用して行く。また国内では産出しない石油と天然ガスでは、ロシアへの輸入依存度を下げるべく、カザフスタンからの原油、イランからの天然ガス輸入を始める。

 一方、原子力の分野でもロシアへの依存度を下げる努力が進められている。ウクライナにはウラン鉱山があり、ウクライナの原子力発電に十分な量があるとされるが、燃料加工を現在までロシアに全て依存していた。ロシア依存を下げるべく、5年前にウクライナは米国との間で核燃料供給に関する合意がされていたが、それにもとづき、今年6月に米国ウェスチングハウス製の試験燃料が南ウクライナ原子力発電所3号機(VVER1000型)に装荷され、既に装荷されているロシア製核燃料と共に、同炉の運転に供されることとなった。この試験実施のため、同原子力発電所は炉心のモニタリング装置の変更を行っている。試験運転の後、42体の同社製燃料集合体が3年間装荷される予定になっている。

 ウクライナでは現在15基の発電炉を運転しており、合計870億kWhを発電、ウクライナ全体の総発電力量の四八%を占める。これに加え、ティモシェンコ首相は本年5月、2030年までにさらに11基の原子炉を建設する方針を発表している。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.