[原子力産業新聞] 2005年7月14日 第2291号 <3面>

[英国] THORPで改善勧告 英調査委

 英セラフィールドの酸化物燃料再処理施設THORPで4月19日に発見された、配管破断によるフィード清澄セル内での漏洩について、英国原子力グループ(BNG)の調査委員会は6月30日、最終報告書を公表、18項目からなる改善勧告を行った。

 溶液のセル内への流出は、4月19日にセル内にCCTVカメラを入れて発見されたもので、破断した配管から約83立方メートルの溶液が、ステンレス鋼で裏打ちされた厚いコンクリート製の二次セルに漏洩した。漏洩した溶液の回収は、6月中旬に完了している。

 調査委員会が出した18項目の勧告のうち、11はセル内計装機器に関連する問題とプラント全体の運転慣行に関するもので、大部分はTHORPのみに適用される。4項目は、金属疲労の評価と設計問題に関するもので、セラフィールド施設全体に適用される。これらの勧告は、おそくとも今年末までに完了することが求められている。

 委員会の調査を受けBNGは、この事象から得た教訓を組織全体に浸透させ、勧告への取り組みが十分に行われるよう、さらに調査を進めるよう指示した。

 セラフィールドのB・スニールソン専務は、「我々はこの事故から学び、報告書に取り上げられた事項について、系統的に問題を解決していく」と述べた。

 また、英国の原子力規制当局である原子力施設検査局(NII)は、THORPの事故に関する独自の調査を行っており、予備的調査の結果として、漏洩検出装置とアラームへの対応方法に関する改善勧告を出した。NIIの調査はまだ継続中。


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