[原子力産業新聞] 2005年7月21日 第2292号 <3面> |
[ロシア原子力庁] サイクル多国間化で国際会議 18か国200名が参加ロシア原子力庁は13日〜15日、モスクワの国際貿易センターで、「核燃料サイクルの多国間アプローチに関するモスクワ会議」を開催、日、米、仏など18か国から200人あまりが参加した。これは、同庁が国際原子力機関(IAEA)の協力を得て開いたもの。 会議では、核燃料サイクルの多国間アプローチに関して、IAEA専門家グループが今年2月にまとめた報告書の内容説明や、これを用いた核不拡散体制の強化、多国間アプローチの将来などについて議論が行われた。 会議冒頭で挨拶したロシアのフラトコフ首相は、「今日、原子力技術は高度に発達し、世界の電力の17%を供給するほどになっている」としながらも、よりいっそうの発展のためには、安全性、経済性、資金、放射性廃棄物処分、核不拡散などの問題解決が必要であり、これらを国際協力によって解決するよう呼びかけた。 IAEAのY・ソコロフ事務次長(原子力発電局担当)は、2020年までに原子力発電が4億2700万kWになるとの見通しを示しながらも、核兵器技術の拡散を防ぐためには、エルバラダイ事務局長の示す核燃料サイクルへの新たなアプローチが重要だと強調。ロシアが使用済み燃料の中間貯蔵・再処理サービスを提供する可能性があると述べた。 このためには、多国間アプローチの構築と、実施条件や管理メカニズムの透明性の確保が必要だと述べた。これによって、同構想に興味を持つ国との信頼関係を強化、IAEAの関与の下に、核燃料サイクル・サービスの供給を保証するシステム作りを進めたいと強調した。 主催者を代表して、A・ルミャンツェフ原子力庁長官は、この会議を通じて、研究炉から原子力発電所までに対し、核燃料供給とバックエンドサービス供給を保証するシステムを、IAEAに提案できるとの意気込みを示した。 IAEA専門家グループがまとめた核燃料サイクルの多国間アプローチ(エルバラダイ構想)では、高濃縮ウランと分離プルトニウムなど核兵器転用可能物質の生産・利用の制限と、核拡散抵抗性の高い原子力システムの構築、多国間による使用済み燃料等の管理・処分などが提案されている。 |