[原子力産業新聞] 2005年7月28日 第2293号 <3面>

[米国とインド] 原子力で全面協力

 米国を公式訪問中のインドのシン首相は18日、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談(=写真、ホワイトハウス提供)、米国とインドが原子力技術で全面的に協力していくことなどを合意した。会談後に発表された共同声明では、インドの国際熱核融合実験炉(ITER)や第四世代原子力システム計画(GENーW)加盟に米国が協力することにも言及、インドは追加議定書への加盟など、国際核不拡散体制の遵守を約束する。1974年のインド核実験以来、原子力協力を中断してきた米国は、大きく政策の舵を切る。

 会談後の共同記者会見でブッシュ大統領は、インドを「世界最大の民主主義国の1つ」と評価。米印両国が自由、民主主義などで共通の価値観を持っていることを強調し、両国の関係を強化する決意を述べた。

 原子力に関連して共同声明は、増加するエネルギー需要をクリーンで効率的に満たす上での「原子力の重要性を考慮」し、インドを「高度な原子力技術」を持つ、責任のある国と定義。この上で米国がインドとの「全面的な原子力協力」を目指すため、米議会に対し、法律と政策を調整するよう求めるとしている。

 米国はまた、インドとの全面的な原子力協力や原子力通商が可能になるよう、友好国に対して、タラプール1、2号機への燃料供給などの「国際的枠組み」の調整を求める。同時に、インドがITERやGEN-Wに加盟できるよう、他の加盟国に働きかけることにも言及している。

 インド側はこれに対し、国際的な核不拡散体制の遵守を約束。これには、民間用と軍事用の原子力施設・計画の分離、民間用施設のIAEAへの申告と保障措置の適用、追加議定書への加盟、核実験モラトリアムの実施、カットオフ条約成立への協力、再処理・濃縮技術の移転自粛、核物質のセキュリティ強化などが含まれている。またインドは、原子力供給国グループ(NSG)ガイドラインの遵守も公約している。

 インドでは2004年末現在、14基・277万kWの原子力発電所が運転中、出力で世界18位、基数では同9位。さらに、9基・446万kWを建設中で、2020年に2000万kWへの拡大を目指す。FBR原型炉のPFBR(50万kW)も2004年10月に建設開始した。

 米印両国は、2003年から原子力安全・規制での情報交換を行ってきたほか、今年6月には米エネルギー省(DOE)とインド計画委員会が、「米印エネルギー対話」を開始(本紙6月23日号3面)。原子力協力についてもワーキンググループを作って検討を進めている。

 インドはいわゆる「BRICs」諸国の一角として顕著な経済成長を遂げており、ここ数年間の成長率は6〜7%。現在10億人強の人口は、2050年には15億人を超えて世界一になると予測されており、市場としても魅力的だ。


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