[原子力産業新聞] 2005年7月28日 第2293号 <4面>

[核融合科学研] ヘリウムの連続的回収に成功

 核融合科学研究所は大阪大学大学院工学研究科の西川雅弘教授チームと共同で、核融合炉の安定運転に必要な核融合反応生成物ヘリウムの連続的回収に成功した。回転ターゲット型プラズマ対向機器にリチウムを連続蒸着することにより、同機器表面の不飽和状態を維持、約20%の効率により世界で初めて連続的回収を実証した。

 核融合炉では水素同位体の高温プラズマ内で、粒子同士が衝突し核融合反応を起こす。この時、反応生成物である高エネルギーのヘリウムはプラズマ中で水素同位体と衝突、自らはエネルギーを失いながらプラズマを加熱し、核融合反応維持に寄与すると期待されている。

 ヘリウムは炉壁に向かっても拡散するため、これを高温プラズマの炉壁への接触を防ぐために設けたプラズマ対向機器で吸収する。しかし同機器表面が飽和し、再放出の割合であるリサイクリング率が100%に達すると、核融合反応を妨げることになる。

 今回実証した技術により、ヘリウムをリチウム蒸着で機器表面に埋積させ、リサイクリング率を定常的に約80%、即ち約20%の効率で連続的に回収することが可能になる。


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