[原子力産業新聞] 2005年8月4日 第2294号 <3面>

[経産省] 第2回原子力部会開く メーカー軸に次世代炉開発

 経済産業省は9日、総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会の下に設けられた原子力部会の第2回会合を開催、メーカーを中心とした日本型次世代軽水炉開発に向けたフィージビリティスタディ(FS)の開始や、原子力発電所の現場でメンテナンス等に携わる技能者の人材育成策について議論した。また同部会では今回、法律で5年ごとの改定が義務づけられている「特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画」の改定案を承認した。

 経産省は8日の原子力部会で、「今後の原子力発電(軽水炉)技術開発の方向性」を説明。この中で、原子力技術は「技術の国籍を問われることが特徴」とし、自国技術を持たないことで様々な制約を受けることも少なくないと指摘。このため、「我が国独自の原子力発電技術の維持発展を図っていくことが重要」として、プラントの建設・運転を目指した開発プロジェクトが必要だとしている。

 同省は、今後20年以上にわたり、国内の新規建設は数年に1基程度の発注に低迷、メーカーの売上高、研究費や技術者数も減少すると予想する一方、2030年頃からは運転中の原子炉の大量の建て替え需要が見込まれるとする。しかし、電力会社は電力自由化等により、以前のように原子炉開発を主導することは困難だ。一方この間、国内の需要は低迷しても、米国、中国等の海外市場の拡大が予想される。

 このため経産省は、メーカーが主体となって、2030年前後からの国内需要だけでなく、海外市場も視野に入れ、官民一体となった技術開発を進めていくことが必要とする。開発に向けて、国、電力会社、メーカーが将来ビジョンを共有し、焦点を絞った中長期的な技術開発戦略を立て、日本型次世代軽水炉開発のためのFSに着手することを提案している。

 2025年頃に建設開始するためには、2015年頃までに開発を終える必要があり、開発に十年間程度かかるとすると、来年度から2〜3年程度かけてFSに取りかかる必要があるとしている。

 FSでは、@国内・世界市場のニーズA世界市場で優位に立つための「売り」となる技術B開発する炉型と出力規模Cメーカー、電力、国の具体的役割D海外メーカーの参加――等を検討すべきとしている。

 また、開発にあたっての論点として、「開発する標準炉を二つ程度に絞るべき」とするほか、開発研究と安全研究を並行的に進め、研究成果を安全規制に速やかに反映させることをなど指摘している。標準となる2炉型について経産省は、「必ずしもPWRとBWRではない」とし、輸出等をにらんだ場合、特定炉型の「大型炉と中型炉」を標準炉として開発することにも含みを持たせた。

 同省では、原子力部会で考え方がまとまれば、来年度から開発のFSに取りかかりたい意向だ。

 委員からは、「安全規制合理化が達成できるような設計が必要」、「電力会社が建設にコミットしないと、『ペーパーリアクター』になる恐れがある」、「開発の中心となる組織が必要」、「海外に売るためには核不拡散抵抗性も必要」などの意見が寄せられた。

 原子力部会は次回、9月28日に開かれる。


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