[原子力産業新聞] 2005年8月25日 第2296号 <2面> |
[理化学研究所] RIBFの建設状況を公開理化学研究所は5日、世界初の超伝導リングサイクロトロン(SRC=写真)を始めとする「RIビームファクトリー」(RIBF)の建設状況を報道関係者に公開した。 RIBFは、現有の重イオン加速器を入射器として、ウランまでの全ての核種についてのRIを世界最大の強度でビーム化する加速器施設で、九七年より建設が開始されている。06年度12月頃にファーストビームの発生となる見込みだが、現在、その中核となるSRCの組み立てが最終段階に入っており、間もなく磁束が漏れないように純鉄のシールドで覆われ、外観は「鉄の塊」となってしまう。また、固定周波数型リングサイクロトロン、中間段リングサイクロトロン、RIビーム生成分離装置といった、その他のビーム発生施設の整備も進められている。一方で、5月に完成したRIBF実験棟内の実験施設は06〜10年度の整備に向けて計画中である。 SRCは、総重量8300トン、分離された磁石の間に鉄製のシールドを設けて強い磁場を発生させる「分離セクター型」で、この構造により、最強のイオンビーム偏向能力を実現するという。現在、ほぼ全容を現すほどまで建設は進捗しており、今月末頃からは液体ヘリウムを注入して冷却に入る予定だ。 RIビームを発生させるU238核分裂反応には、核子当たり光速の約70%に相当する約400MeVのエネルギーが必要だが、これまで光速の15%の加速が限界であった。RIBFの高エネルギービーム供用により、ウランを効率よく分裂させ、新たな原子核世界を切り開いていくことが期待できる。 理研では、RIBF計画により、@究極の原子核モデルの構築A元素の起源の解明B新しい産業利用の開拓――を目指している。 |