[原子力産業新聞] 2005年9月1日 第2297号 <1面>

[経産省、文科省] 06年度原子力関係予算の概算要求

 経済産業省と文部科学省は8月29日と30日、それぞれ06年度予算の概算要求の概要を発表した。文科省関係で日本原子力研究開発機構に対する国庫支出は今年度予算比32億円増の1943億円、主要事項は「もんじゅ」に同99億円増の225億円、J-PARCに同60億円増の310億円、ITER計画に同2億円増の28億円などで、X線自由電子レーザー施設建設に向けた33億円も要求。経産省では原子力安全関係に同18億円増の367億円、電源立地地域の振興(交付金等)で高経年化炉や核燃料サイクル施設と地域との共生支援のため新たに56億円の枠を設定、次世代軽水炉開発のフィージビリティ調査には5000万円を要求した。

 文科省の原子力分野の概算要求は、今年度予算比14億円減の2853億円。「もんじゅ」は今月から改造工事を開始するため同79%増と大幅に増加。J-PARCも加速器本体や中心施設である物質・生命科学実験施設の建設に伴い同24%増の310億円で、このうち原研分が200億円、KEK分が110億円。ITER計画では建設地決定により、我が国が分担する機器・施設を調達・整備する作業などを行う。重粒子線がん治療関係は同6億円増の58億円。

 X線自由電子レーザー施設はSPring−8の隣接地に10年度の完成を目指し建設するもので、建設費の総額は約四百億円。06年度は施設の具体的な設計とともに一部建屋の建設にも着手する。超高輝度のX線レーザーにより1原子レベルの超微細構造や化学反応領域の超高速動態・変化を計測・分析する。

 経産省の原子力関係要求総額は同56億円増の1807億円。原子力安全・保安院関係は今年度予算比12億円増の433億円。原子力安全分野は同18円増の367億円で、うちJNESへの運営交付金は237億円。新規項目は、高経年化対策強化基盤整備事業10億円、再処理施設保守管理技術調査5億円、原子力保安検査官訓練施設整備事業19億円等。

 電源立地地域振興関係は同七億円増の1349億円、この中に高経年化炉や核燃料サイクル施設の立地地域支援枠として、新たに56億円。エネ庁関係で新規項目は次世代軽水炉開発のFSの他、メンテナンス現場人材の育成1億円、アジア地域の原子力発電支援5500万円等。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.