[原子力産業新聞] 2005年9月1日 第2297号 <2面>

[水素エネルギー産業会議] 設立 「原子力水素製造」でパネルも

 将来のエネルギーとして期待されている水素エネルギーを民間の立場から推進するため、水素エネルギー産業会議(JHIF)が8月24日、東京・港区の芝浦工業大学で設立総会を開き、会長に平田賢・芝浦工大学長を選出した。

 戦後、原子力界が日本原子力産業会議を設立し、産・官・学の協調の下に原子力開発を進めてきたことを範に取り、水素エネルギー利用における「産」の部分を担う組織として作られたもの。26組織・個人が会員となり、幹事には、柏木孝夫・東京農工大教授、堀雅夫・原子力水素研究会代表ら五氏が就任した。

 総会後に開かれた第1回会議では、原子力による水素供給について、パネル討論が開かれた(=写真)。「原子力による水素供給―実現へのステップ」と題し、堀雅夫氏をコーディネーターとし、宅間正夫・原産副会長と塩沢周策・日本原子力研究所大洗研究所長がパネリストを務めた。

 「水素エネルギー社会の可能性を原子力に求めて」と題してプレゼンテーションを行った原産の宅間副会長は、「エネルギーの安定供給と脱炭素化に原子力は貢献し得る」とし、また、原子力がエネルギーを巡る国際紛争等の解決に貢献できるとして、「『原子力の平和利用』から『原子力の利用による平和』の実現」を展望した。

 また、現在原子力は、電気エネルギーとして使われているが、水素生産や淡水製造用の熱エネルギーとしても利用できるほか、核エネルギーを水素に「翻訳」することにより、輸送用エネルギーとしても利用可能だと強調した。

 原研の塩沢大洗研所長は、「高温ガス炉を用いた水素製造技術」と題し、HTTR計画と熱化学法ISプロセスによる連続水素製造の現状について解説した。


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