[原子力産業新聞] 2005年9月1日 第2297号 <2面>

[原研と高エネ加速器研究機構] J-PARC建設状況を公開

 日本原子力研究所と高エネルギー加速器研究機構(KEK)はこのほど、報道関係者にJ-PARCの建設状況を公開した。08年4月の稼働を目指し、現在、工事は施設全体で約60%まで進捗、1年後にはリニアックから最初のビームが出る。

 建設工事はリニアック、3GeV及び50GeVシンクロトロン、物質・生命科学実験施設、原子核素粒子実験施設、ニュートリノ実験施設などの各施設ともほぼ順調に進んでいる。

 すでに建屋の建設が完了したリニアックでは、機器の搬入が本格化。1階のクライストロンギャラリーへの装置設置とともに、地下2階(地下15m)の加速器トンネルでもDTL(ドリフトチューブリニアック)やRFQ(高周波四重極)リニアックなどを今年6月から7月にかけて搬入した。ともにつくばのKEKで、約2年間に亘り各種の試験や調整を実施してきたもの。今年11月にはリニアックの中流部と下流部を構成するSDTL(セパレートDTL)も据付けを開始する。

 3GeVシンクロトロン棟も7月末に建屋が竣工、すでに偏向電磁石(25台)と四極電磁石(60台)も全数の製作を終えており、今後、順次据付ける。

 50GeVシンクロトロンもトンネル工事や関連建屋の設備工事などが順調に進み、物質・生命科学実験施設では建屋の鉄骨組立てがほぼ完成。原子核素粒子実験施設ではビームスイッチヤードの建設工事などが進む。

 また、1・5次計画として04年度から工事を開始したニュートリノ実験施設ではディケイボリュームの建設が進んでいる。同施設は09年4月からビームを出す計画。物質・生命科学実験施設から1年半、原子核素粒子実験施設から一年遅れて、ビーム試験を開始することになる。


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