[原子力産業新聞] 2005年9月8日 第2298号 <2面>

[福島県] 燃料サイクルシンポ開催

 福島県は4日、原子力政策大綱の核燃料サイクル政策に対し議論の場を提供するとして、都内で国際シンポジウム「核燃料サイクルを考える」を開催(=写真)した。国内外パネリスト10名の議論を300名弱が傾聴。佐藤栄佐久知事は、「サイクル政策は一度立止まり国民的議論を要請したが、残念ながら4か月で再処理継続を決定した」と挨拶、今回示された様々な論点を検討すべきとした。

 シンポジウムは安全性・環境適合性、エネルギーセキュリティ・核不拡散性、経済性の3セッションで構成。安全性では独・エコ研究所のキュパース氏が再処理による事故の危険性増大懸念、京都大学の山名元教授が再処理リサイクル路線の安全性と環境適合性、京都大学大学院の藤村陽助手が使用済みMOX燃料を考慮した比較の必要性などを主張。

 セキュリティでは米プリンストン大学のヒッペル教授がプルトニウム利用に対する使用済み燃料貯蔵の安全さ、核燃料サイクル開発機構の河田東海夫理事がFBRの必要性と利点、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長が自然エネルギー拡大の可能性などを主張。経済性では仏・国際エネルギーコンサルタントのシュナイダー氏がプルトニウム利用の過大評価、筑波大学の内山洋司教授が長期的で総合的評価による再処理路線選択、東京大学の橘川武郎教授が再処理路線のみのリスクなどを主張。


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