[原子力産業新聞] 2005年9月8日 第2298号 <2面>

[東北電力] 女川の地震観測データを公表 保安院が評価等を指示

 東北電力は2日、8月16日に宮城県沖で地震が発生した際の、同社の女川原子力発電所(=写真)で観測された詳細データを公表した。

 地震発生時、通常運転中だった女川原子力発電所1、2、3号機は地震の影響により、同日11時46分に全号機が設計通りに自動的に停止。東北電力ではその後、地震による設備への影響について調査・確認を開始していた。

 今回の発表は、これまでの確認状況を取りまとめたもので、それによると、設備の安全機能の確認状況について、これまでの調査では安全上問題となる被害のないことを確認しており、また設備の健全性の解析評価についても、建屋内の安全上重要な機器が受けた力を評価した結果、いずれも設計において考慮した力を下回っており、健全性に問題がないことを確認したとしている。東北電力では今後も引き続き、これらについての確認・評価などを行っていく方針だ。

 また観測された地震波に基づく設備の健全性評価では、1〜3号機の原子炉建屋で観測された地震動から求めた加速度応答スペクトルは、機器の設置されていない屋上を除き、全ての周期において基準地震動S2(設計用限界地震)による応答スペクトルを下回っていることを確認した一方、岩盤上で観測された地震データから上部地盤の影響を取り除いたデータを解析したところ、一部の周期において基準地震動S2を超えている部分が確認されたため、東北電力では今後、「この要因の分析・評価を行う」ことを予定している。

 なお東北電力が女川原子力発電所の設備の健全性確認状況を公表したことを受け、原子力安全・保安院は同日、東北電力に対し「同発電所の耐震安全性に万全を期するため」との観点から、@今回の地震による女川原子力発電所各号機の安全上重要な設備の耐震安全性の詳細評価A今回の地震で観測された観測波の岩盤表面の応答スペクトルが、周期によっては基準地震動の応答スペクトルを超えることとなった要因の分析・評価――を行い、報告するよう指示をしている。

 なお、原子力安全委員会は5日、本件について原子力安全・保安院より報告を受け、現在、専門部会で耐震設計審査指針類の見直しを進めていることから、松浦祥次郎委員長は「今後の議論に重要な問題を提起する」と述べた。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.