[原子力産業新聞] 2005年9月8日 第2298号 <3面>

[米国] 原子力1基が停止 ハリケーン「カトリーナ」来襲で

 米国へのハリケーン・カトリーナ来襲の中、ルイジアナ州とミシシッピー州にある3基の原子力発電所は安全を確保できるように、米原子力規制委員会(NRC)と協力体制を取った。ルイジアナ州ではリバーベンド(BWR、100万kW)、ウォーターフォード(PWR、115万kW)の両原子力発電所が、ミシシッピー州ではグランドガルフ原子力発電所(BWR、131万kW)が運転している。

 ハリケーンで大きな被害を受けたルイジアナ州ニューオーリンズ市近くではウォーターフォード3号機が運転中だったが、ハリケーンの接近警報で停止した。同発電所では、暴風より高潮の懸念が大きく、ミシシッピ川の18フィートの堤防上端に達すると予測された。原子力発電所の構造は非常に堅牢に作られており、カトリーナ級以上の暴風と高潮に耐えられる。

 ウォーターフォード発電所は、ハリケーン接近当初、NRCの4段階尺度で「異常事象」を宣言し、その後、「警報」レベルに上げた。風速が毎秒49メートルを超えると「サイト地域非常事態」が出される。同発電所周辺の電力網が不安定になったため、オフサイト電力が喪失、サイトの主要安全系統の電力は、発電所のディーゼル発電機から供給されている。

 グランドガルフ、リバーベンド両発電所は、ハリケーンの最中も運転していたが、電力消費量の低下で送電線の電圧が変動、送電網の安定性を回復させるため、自発的に出力を下げた。


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