[原子力産業新聞] 2005年9月22日 第2300号 <1面>

[原子力委] 原子力政策大綱 策定会議が最終案を了承

 原子力委員会・新計画策定会議は16日、第32回会合を開催(=写真)、意見募集やご意見を聴く会を踏まえた原子力政策大綱の最終案について審議した。放射性廃棄物の処理・処分への取組みに関して一層の重みを置くなどの修正を加えており、策定会議として、これを了承した。また少数意見を大綱に添付する方向で、今月29日の次会合で全ての審議を終える。

 意見募集やご意見を聴く会では、合わせて701名から1717件の意見が寄せられた。原子力発電に対する基本的な考え方をはじめ放射性廃棄物への取組み、核燃料サイクル政策、エネルギー教育、安全確保などに対する意見が比較的多く、新潟県の泉田裕彦知事と福島県の佐藤栄佐久知事も意見を提出。泉田知事は原子力安全・保安院の分離・独立を含む国の原子力安全規制体制のあり方や交付金制度の充実、佐藤知事は核燃料サイクルの国民的議論の必要性やFBR実現の疑問などを指摘した。

 様々な意見を踏まえ最終案では、従来、第3章「原子力利用の着実な推進」の中で、エネルギー利用と放射線利用の後に記述していた放射性廃棄物の処理・処分を第2章の「基盤的活動の強化」の記述に変更。同処理・処分を安全の確保、平和利用の担保、人材の育成・確保、地域社会の共生などとともに、原子力の研究開発及び利用における基盤的活動に位置付けた。また、地域社会の共生の中で、広聴・広報の充実について個別の項目を設けるとともに、安全対策、高経年化対策、国・事業者の責任などの項目で修正を加えた。

 会議では修正案が了承されたが、吉岡委員と伴委員が政策大綱の内容に反対の少数意見を大綱に添付することを要請。「これまでの審議は全て公開されており、大綱に少数意見を添付する必要はないのではないか」などの意見も出されたが、最終的には添付の方向とし、次会合では少数意見も含め最終的に大綱を取りまとめることとした。委員から大綱の閣議での取扱いについての質問も出され、近藤委員長は、「現在、関係省庁とどのような形(報告、決定等)が適切か検討しており、次会合には報告できると思う」と説明した。


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