[原子力産業新聞] 2005年9月29日 第2301号 <1面>

[経産省] 配管点検の革新技術を開発 産総研主体に5か年計画で

 経済産業省は来年度からの5年計画で、可搬型電子加速器などを用いて原子力発電所の配管検査期間を大幅に短縮できる点検技術の開発に着手する計画だ。「原子力発電所クイックメンテナンス技術研究開発」と呼ぶプロジェクトで、産業技術総合研究所を開発主体とし、計測機器メーカーなどの民間企業の参画も募る予定。来年度予算の概算要求に5億1500万円を盛込み、5年間で約20億円の予算を想定する。

 プロジェクトは経産省の産業技術環境局の委託事業で、産総研の計測標準研究部門と計測フロンティア研究部門が開発主体。原子力発電所の点検期間は、特に点検箇所の多い配管系が全体の点検期間のボトルネックになるが、プロジェクトによりこのボトルネックを解消、通常の定期点検期間3〜4か月を1か月程度短縮できる技術の確立を目指すとしている。

 具体的な開発テーマは、@可搬型電子加速器などを用いた配管減肉や亀裂の迅速な探索技術A放射線測定機器の規格標準化および被ばく環境下の効率的点検技術B高温配管に貼り付け可能な振動センサーなどによる予防保全技術ーーなど。

 非破壊検査に使用する可搬型電子加速器は加速エネルギー300keV〜1MeV、重量7〜15kg、大きさ20〜30cm程度を目指し、加速管、大電力マイクロ波発生用電子管、電子銃などを2年間で開発。シンチレーション検出器を用いた硬X線の高感度検出装置の開発も進める。

 規格標準化では、放射能の絶対測定用ウエル型Ge検出器により、低エネルギーガンマ線核種の高精度定量を試みる。被ばく環境下の効率的点検を実現するため、必要なセンサー群を統合し作業者情報を計測・蓄積する機能を持つシステムも開発。振動センサーでは高感度を実現するフレキシブルセンサー構造やデバイス化技術を開発し、高温耐久性を持つ異常振動検出技術の実現を目指す。また、レーザー照射条件を系統的に変化させる応力改善層深層化処理法も検討する。


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