[原子力産業新聞] 2005年9月29日 第2301号 <3面> |
[米北東部の9つの州] 温暖化ガス2020年に10%削減ニューヨーク州を含む米国北東部の9つの州はこのほど、火力発電所からの温暖化ガス排出量を現在のレベルに凍結し、その後、2020年までに10%削減するという暫定合意に達した。この米国初の合意は、9つの州の六百以上の発電事業者による二酸化炭素や温室効果ガスの排出を規制する市場主導システムを作り上げるもの。温室効果ガス規制を支持する環境保護派は、他の州がこれらの九州に追随すれば、国内法の成立に向けた圧力となると考えている。 共和党の大統領候補と目されているパタキ・ニューヨーク州知事は、ブッシュ政権の判断にかかわらず独自に行動を起こす必要があると主張。北東部地域は大量の温室効果ガスを出しており、ドイツの二酸化炭素排出量にも相当すると計算している。 今回合意された地域的な二酸化炭素規制計画は、二酸化炭素排出量の上限を年1億5000万トンに設定し、時間の経過と共にこの値を下げていくもの。1億5000万トンの排出量は、最も排出量の多かった2000年から2004年までの3年間の平均排出量にほぼ等しい。さらに、9つの州にはそれぞれ上限を設定、ニューヨーク州の6560万トンが最大で、バーモント州の135万トンが最低。 排出量は、2015年まで1億5000万トンの上限で維持、2015年からは削減が課せられ、2020年には10%の削減に至る。 京都議定書は、排出量を1990年のレベルから2012年に七%の削減を課す。環境保護派は、2つの計画を比較するには変数が多すぎるが、いずれにせよ、ほぼ同程度の炭素の削減が達成されると考えている。 ニューヨークの独立発電事業者は、上限の遵守は石油価格が高騰している現在、非常に困難であり、こうした制約が、北東部九州の発電事業者に競争上の不利益を与えないないよう保証する必要があると指摘。 今回の合意によると、割当量を排出していない発電会社は、排出権を競合他社に売却することができる。北東部諸州は、一部の割当量を発電会社に売却することを検討している。 |