[原子力産業新聞] 2005年10月13日 第2303号 <2面>

[文科省] 宇宙線被ばくで報告書 法規制をせず自主的管理・教育が適切と結論

 文部科学省の航空機乗務員等の宇宙線被ばくに関する検討ワーキンググループは7日、第10回会合を開催、同被ばくを法令による規制対象とせず事業者が自主的に管理・教育することが適切、とする最終報告書案を了承した。

 航空機乗務員等の宇宙線被ばく線量は年間1000時間搭乗した場合で約5mSv。ICRP(国際放射線防護委員会)では1〜10mSvを「介入が正当化されそうにない一般参考レベル」としている。

 これらや諸外国の対策も踏まえ報告書では、航空機乗務員等の宇宙線被ばく線量は、法令による規制対象とする必要はないと考えられると指摘。しかし、合理的で実行可能な範囲により被ばくリスクを低く保つべきとの観点から、被ばく線量管理や宇宙線被ばくに関する教育が事業者により自主的に適切に実施されることが望まれるとした。

 具体的な対応方法では、管理目標値を年間5mSv程度に設定することが適切であり、太陽フレアによる線量変化に留意し、航空機の運用を工夫することが必要としている。また、被ばく線量の評価は、諸外国と同様に実測ではなく計算により行うことが妥当で、教育では特に女性の乗務員に対して、胎児への影響のついて認識を持ってもらうことが重要などの点を指摘している。


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